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 「日本に電柱は何本あるか」「東京にタクシーは何台走っているか」。ITやコンサルティングといった企業の採用面接で、こんな質問が出されるという話を聞いたことはないでしょうか。

 見当もつかないようなお題ですが、日々の仕事でもこうした課題に向き合うことは少なくないでしょう。以下は、あるメーカーの研究開発部門での会議シーンです。あなたが担当者だったら、どうしますか。

部長:うちの会社の商品、最近よくコンビニで売れているよね。来店客全体のうち、どれくらいの人が購入してくれているのかなあ。ざっくりでも分からない?

担当者:(自社の販売数は分かるけど、コンビニの来店客数は知らないからなあ)ちょっと、調べるのに時間をください……。

 コンビニの従業員でもないのに、来店客数をどうやって求めたらよいのでしょう。こうした場面で使えるのが「フェルミ推定」です。「把握したい未知の数値・データを、素早く論理的に求めるための方法」として知られています。

 フェルミ推定というと、冒頭に挙げたような採用面接特有のものと考えていたり、必ず「問題」と「解答」があると理解していたりする人もいますが、そうではありません。技術者の日々の仕事でも、未知の数値やデータを求める必要がある局面で幅広く役立つ考え方です。就職や転職を目指す方々はもちろん、ビジネススキルを高めたいすべての人に身につけていただきたい手法です。

 具体的には、以下のような疑問を解決するのに役立ちます。

  • 新商品の生産計画を立てる際、数量をどれくらいにしたらよいか
  • 競合の製品は、年間でどれくらい売れているのか
  • まだリーチできていない顧客セグメントで、自社製品の潜在需要はどれくらいあるか
  • インターネットでの販促にどれくらいコストをかければよいか
  • 目標売上を達成するには何人の営業担当者を雇えばよいか

 この5つはいずれも、フェルミ推定で推計できます。細かな手法はそれぞれ異なりますが、フェルミ推定の考え方を利用することで素早く的確に解を求められるようになります。

フェルミ推定の「2つの視点」を押さえる

 フェルミ推定を用いる際にまず押さえておきたいのが、2つの視点です。フェルミ推定では「大きい数字から分解」と「小さい数字から積み上げ」のいずれかの視点で対象となる数値を導出します。

 以下の図は、前出の部長の疑問に答えるためのアプローチをまとめたものです。部長が知りたがっているのは、「コンビニの来店客全体のうち、どのくらいの人が自社製品を購入しているか」です。つまり「来店客のうち、自社製品を購入する人の割合」と言い換えられます。

未知の数値を導出する際のアプローチ
未知の数値を導出する際のアプローチ
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