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 見当もつかないような未知の数値を論理的に素早く求めるために有効なフェルミ推定。外資系IT企業やコンサルティング企業の入社面接で必要になるほか、事業の売り上げや費用の計画を作成するときにも役立ちます。

 入社面談でフェルミ推定に基づいたお題が出される場合、候補者が出した数値に対して「この数字はどうやって推計するの?」「もっと分解して考えられない?」などと面接官が質問をすることがあります。「自分が出した数字が不適切だったかもしれない」と不安を覚える候補者は少なくありません。

 しかし実はこれは歓迎すべきことです。面接官は、必ずしも「正しい数値」を求めてはいません。むしろ、その人とスムーズにコミュニケーションしながらより良い道筋を見いだしていけるかをチェックしているのです。

 入社後、実際の業務に携わるようになると、周囲とのさまざまなコミュニケーションが発生します。例えば売上計画を作成するとき。「ここの数字が粗いから、もう少しちゃんと説明できるようにしておいて」「エリア別に傾向が異なるから、エリア別に計算したほうがいいのでは?」「年齢別に分けたらどう?」といった意見や指摘を上司や同僚から受けるはずです。これらを基に議論をするからこそ、売上計画はより精緻なものになります。

 こうした場で自分の意見をきちんと述べ、仕事の質を高めていけるかどうかは、重要なポイントです。入社面接でもその能力を見極めるために、面接官が冒頭のような質問をするのです。

 ですから候補者は慌てる必要はありません。面接官とのディスカッションを通じて、双方が納得できる形で考えを深め、精緻な数値を導き出せるかを意識して受け答えしましょう。

式を分解して精緻な数値を求める

 ここからは、精緻な数値を求めるうえで知っておきたい「式の分解」の考え方について説明します。

 前回、フェルミ推定をする際は、まずは「対象商品が使われるシーンごとに分ける」と説明しました。日本全体で消費される注射針の本数を推計するというお題なら、「病院で使用」「病院以外で使用」などのシーン分けをして、各シーンに計算式を用意する流れになります。これが、フェルミ推定のステップ①といえます。

注射針が利用されるシーン分けをして、各シーンの注射針消費量の計算式を用意する
注射針が利用されるシーン分けをして、各シーンの注射針消費量の計算式を用意する
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