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 中途採用や新卒採用で実施される面接では、面接官が質問をし、応募者が答えるのが一般的です。備えを万全にしたいものの、「面接官からどのような質問がくるか分からないから、準備できない」と考えている人がいます。しかし、決してそうではありません。

 面接官の印象に残る受け答えをしたり、面接官を納得させられる論理的な説明をしたりするために、有効な事前準備があります。それは、失敗体験を通じてアピールしたいことを伝える方法です。

 なぜ、面接で失敗体験を語るのが効果的なのか。どのように失敗体験を語れば、面接官の心に残るのか。それをご説明します。

成功体験ばかりを語る応募者よりも、失敗体験を踏まえて自らの考えを語る応募者のほうが、面接官の印象に残る
成功体験ばかりを語る応募者よりも、失敗体験を踏まえて自らの考えを語る応募者のほうが、面接官の印象に残る
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成功体験を説明しても意味がない

 採用面接では応募者の多くが、自分が優れていることをアピールしようとするあまり、成功体験を説明しがちです。しかし、成功体験に関する話は面接官の心には残りません。成功体験は、都合のいいように話をつくれるからです。

 新卒の面接ならば「私はサークルの代表として組織をまとめ、優勝に導きました」、中途採用ならば「私が主導した取り組みで、コストを30%カットできました」などというアピールをよく聞きます。実際に面接官を務めていた筆者からすると、これらは無駄なアピールです。無駄どころか、貴重な面接の時間を意味のないアピールに割いてしまうので、マイナス効果です。

 そもそも、「何らかのサークルの代表」には誰でもなることができ、その人が入社後に仕事ができる人材かどうかの判断材料にはなりません。大会で優勝したとしても、その大会の難易度が面接官には分からないことがほとんどで、その価値が評価できません。本当にハイレベルな大会で優勝をしたとしても、会社が新卒社員に求めるのは組織をまとめることではないため、それほど意味を持ちません。

 中途採用についても同様です。コストの30%カットを本当にその応募者の力で実現したのか、他の人の貢献があったのか、10%だけコストカットしたのを“盛って”説明しているのか、面接官には判断がつきません。

 当時の環境が分からないので、実現したコストカットの難易度も不明です。異なる複数の組織で、同じような成果を何度も上げているならばまだアピール材料になりますが、たった1度の成功体験を説明されても、面接官としては再現性に疑問を持つだけです。入社後に活躍してもらえるイメージが湧かないので、高評価にはつながりにくいのです。

失敗体験から伝わるものは多い

 失敗体験はこれとは違います。失敗体験を語ると、その人が置かれた仕事の環境やつまずいたことを具体的に伝えやすくなります。

 何を「失敗だった・問題だった」と感じているのか、その応募者の感性も伝わります。同じ事象に直面しても、「あれは失敗だった」と振り返る人もいれば、失敗とは捉えず次に進む人もいます。つまり「失敗だった」と感じる感性は人それぞれです。失敗体験を語ることで、面接官にあなたの感性が理解できるのです。