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(写真:伊藤朝輝、以下同じ)
(写真:伊藤朝輝、以下同じ)
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 2021年9月15日にディスプレーサイズ10.2型の「iPad(第9世代)」(以下、無印iPad)と8.3型の「iPad mini(第6世代)」(以下、iPad mini)が発表された。直販価格はそれぞれ3万9800円(税込み、以下同じ)から、5万9800円からとなっている。ただスペックや用途を具体的に考えていくと、購入しやすい価格の無印iPad、モバイル重視のiPad miniと一言では片付けられない。

 ここでは5つの項目で比較して、それぞれがどんなユーザーに向いているかをはっきりさせよう。いわば「5番勝負」だ。

●価格対決
●テキスト入力対決(ハードウエアキーボード)
●手書きノート対決(Apple Pencil)
●カメラ対決
●モバイル対決(重さ、大きさ、バッテリーの持ち)

第1試合:価格対決

 まずは誰もが気にする価格から比較しよう。無印iPadとiPad miniのいずれも内蔵ストレージサイズは64GBと256GBの2種類。「Wi-Fi」モデルと「Wi-Fi+Cellular」モデルが用意されていて、どちらにも4種類のモデルが存在する。

 これまでなら無印iPadは安価だけれども搭載されるストレージ容量が32GBなどと少なく、それ以上の容量を選択すると上位モデルとの価格差が縮まってしまうといったことがあったが、今回はそのような心配はない。

無印iPadのモデルごとの価格(税込み)
iPadWi-FiWi-Fi+Cellular
64GB3万9800円5万6800円
256GB5万7800円7万4800円
iPad miniのモデルごとの価格(税込み)
iPad miniWi-FiWi-Fi+Cellular
64GB5万9800円7万7800円
256GB7万7800円9万5800円

 無印iPadとiPad miniはどちらも64GBモデルの価格に1万8000円をプラスすると256GBモデルを購入できる。同じストレージサイズ同士で比較すると無印iPadとiPad miniの価格差は常に2万円かと思いきや、Wi-Fi+Cellularモデル同士ではその差は2万1000円になってしまう。

 通信機能にも違いがある。iPad miniのWi-Fi+Cellularモデルは5G通信に対応しているが、無印iPadは非対応であるという点だ。

 個人的にはWi-Fi+Cellularモデルの快適さを知ってしまうとテザリング接続には戻れない。テザリングの手間がかかるだけで心理的な障壁となり、外出時にiPadを持ち出すのがおっくうになる。せっかく買ったiPadを使う機会を失っていることになる。Wi-Fi+Cellularモデルへの出費は無駄ではないはずだ。

 他にもこのような細かい差としてディスプレーが挙げられる。iPad miniには反射防止コーティングが施されているが、無印iPadにはそれがない。並べると室内でも違いがよく分かり、iPad miniのディスプレーは反射が抑えられて見やすい。屋外では違いがもっと顕著になる。

 またディスプレーそのものにも違いがあり、無印iPadは「sRGB」で定義された色範囲を表現できるのに対して、iPad miniは「広色域ディスプレー(P3)」を搭載し、より広い範囲の色を表現できる。

 色表現の豊かさが必要な作業、例えば写真加工やイラスト制作などにiPadを用いる場合は、iPad miniのほうが向いているだろう。

反射防止コーティングありのiPad mini(左)と、なしの無印iPad(右)。iPad miniにはほとんど映っていないが、無印iPadは光を反射し、撮影している筆者の姿も映っている。
反射防止コーティングありのiPad mini(左)と、なしの無印iPad(右)。iPad miniにはほとんど映っていないが、無印iPadは光を反射し、撮影している筆者の姿も映っている。
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 決定的な違いは、搭載されているプロセッサーだ。iPad miniが最新のiPhone 13シリーズと同じ「A15 Bionic」なのに対して、無印iPadは2世代前の「A13 Bionic」が搭載されている。

 ベンチマークアプリ「Geekbench」で計測してみたところ、無印iPadはシングルコア/マルチコアが「1335/3339」、iPad miniが「1591/4606」となった。それぞれ約1.2倍、約1.4倍の差があった。

 GPUのベンチマークである「AnTuTu Benchmark」で計測したところ、無印iPadが「269904」という評価だったのに対して、iPad miniは「334723」だった。こちらも約1.2倍。

ベンチマークアプリ「Geekbench」で計測したところ、無印iPadはシングルコア/マルチコアの評価が「1335/3339」だった
ベンチマークアプリ「Geekbench」で計測したところ、無印iPadはシングルコア/マルチコアの評価が「1335/3339」だった
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iPad miniのGeekbenchでの評価はシングルコア/マルチコアが「1591/4606」だった
iPad miniのGeekbenchでの評価はシングルコア/マルチコアが「1591/4606」だった
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無印iPadの「AnTuTu Benchmark」で計測したGPUの評価は「269904」
無印iPadの「AnTuTu Benchmark」で計測したGPUの評価は「269904」
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iPad miniのGPU評価は「334723」だった
iPad miniのGPU評価は「334723」だった
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 筆者の経験ではRAW撮影した写真の現像や、レイヤーを多く重ねて作成した画像を処理する際にプロセッサーやGPUの差が表れる。通常の使用で顕著に感じられるほどではない。

 ここまで価格と仕様の違いを見てきたが、純正のハードウエアキーボード「Smart Keyboard」(1万8800円)を購入できる2万円という価格差は大きいため、この勝負は無印iPadの勝ちとしたい。少しでも安価にiPadを購入したい人は無印iPadがお薦めだ。