
デジタル庁が2021年9月1日に始動した。クラウド活用やシステム標準化などをテコに、政府と自治体の両方でシステム効率化を進める考えだ。これまで大型システム開発や独自パッケージ導入といった「公共向けビジネス」を席巻してきた大手ITベンダーはどう戦略を変えるのか。外資系ITベンダーやITベンチャーは何を狙って参入してくるのか――。ITベンダーそれぞれの戦略とデジタル庁への期待を調査と取材でまとめる。
デジタル庁が2021年9月1日に始動した。クラウド活用やシステム標準化などをテコに、政府と自治体の両方でシステム効率化を進める考えだ。これまで大型システム開発や独自パッケージ導入といった「公共向けビジネス」を席巻してきた大手ITベンダーはどう戦略を変えるのか。外資系ITベンダーやITベンチャーは何を狙って参入してくるのか――。ITベンダーそれぞれの戦略とデジタル庁への期待を調査と取材でまとめる。
全国約1700の地方自治体は2025年度末までに標準準拠の自治体システムに原則移行する。システム移行に際しては、業務フローの見直しや業務改革(BPR)を断行する必要もある。標準化や行政DXによって生じた新たな市場に食い込むIT企業を3社のサービスと戦略を見ていく。
住民と行政の「接点」である申請手続き。新型コロナ禍で非接触・非対面がニューノーマル(新常態)となったことで、地方自治体は「行かない・書かない・待たない」役所に向け、行政手続きのオンライン化を急ぐ。このニーズを奪うべく、ベンチャー企業や地方ベンダーが続々と自治体ビジネスに参入している。
デジタル庁は2021年度中に「ガバメントクラウド」の運用を始め、2025年度末までに全地方自治体の標準準拠システムを可能な限り移行させる。これに伴い、自治体の情報システムは今後、クラウド利用が第一選択肢となる。好機到来とみて、クラウドベンダーが攻勢をかけている。
全国約1700の自治体の情報システムには合計で毎年5000億円強の予算が投じられている。自治体システム標準化とガバメントクラウドという2つの変革により、自治体情報システムの開発・運用を担うITベンダーの勢力図も大きく様変わりする可能性がある。
日経クロステックは公共ビジネスを手掛ける国内大手ITベンダー4社を対象に2021年9月にアンケート調査した。NEC、富士通、NTTデータの3社は、ガバメントクラウドに関連した専門部署の設置やクラウド関連サービスの強化などを進めると回答した。
デジタル庁が2025年度末までに整備する方針を掲げている「ガバメントクラウド(Gov-Cloud)」と自治体システム標準化が、ITベンダーの公共ビジネスに大きく影響しそうだ。