2021年はゲリラ豪雨や台風などによる水災が多かった。その水災被害で、IT機器が水没して壊れたという話をよく耳にした。例えば、ハードディスクが泥水などにつかりデータを読み出せなくなったという。
もしデータを読み出せなくなるなら、USBメモリーやハードディスクを廃棄する際にあらかじめ液体につけることがデータの漏洩防止策として有効になるのではないだろうか。これを検証するため、USBメモリーやハードディスクを複数種類の液体につけて、データが読み出せるかどうかを検証した。
水・泥水・油につける実験
今回の実験では、筆者が使わなくなった古いUSBメモリーとハードディスクを複数用意した。それぞれに写真などの画像ファイルや、Word・Excelなどで作成したオフィス文書を保存した。
これら機器をつけるために用意した液体は水道水、水害を想定した泥水、水以外の液体として食用油も用意した。
まずはUSBメモリーをそれぞれの液体の中に入れて、1時間ほど放置した。USBメモリーは小型なため、容器にはコップを使った。

液体から取り出した後は、ティッシュペーパーで液体をふき取り、しばらく乾かした。そしてパソコンに接続し、データを読み取れるかを確認した。
結果は、どの液体に入れた場合でもデータを問題なく読み出せた。USBメモリーには機械的な部品がないため、故障しないのではないかと推測される。
次は、ハードディスクを水道水、泥水、食用油に1時間つけて、データを読み出せるかどうかを確認した。ハードディスクを入れる容器にはポリ袋を用意した。
取り出した後、パソコン側の機器に影響が出ないようにティッシュペーパーで丁寧に拭き取った。

結果は、どの液体でもデータを正常に読み出すことができた。ハードディスクには、ディスク(プラッター)やヘッドといった部品があり、これらに液体成分が付けばディスクが回転しなくなったり、データの読み出しでエラーが発生したりする。またディスクを回転させるモーターも備えていて、液体につかれば動かなくなるのではないかと予想していた。きょう体の機密性が高いせいか、データの読み出しで問題は発生しなかった。