省庁や都道府県など主要な行政機関の9割超がデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進組織を持ち、7割超が最高デジタル責任者(CDO)を配置している――。DXに向けて体制づくりを急ぐ行政機関の実態が最新の調査によって分かった。民間企業からの人材登用も進んでおり、行政機関におけるDXの意欲が高まっている。一方で課題も見えてきた。
調査は日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボが行政機関におけるデジタル活用の実態や今後の計画を明らかにする目的で2021年8月17日~9月21日に実施した。対象は中央省庁、都道府県、政令指定都市など約100の主要機関。有効回答数は76件だった。
調査で「DXを推進する組織横断型の専任組織はありますか」と尋ねたところ、「専任組織がある」と答えた行政機関が59.2%と約6割に達した。「専任ではないが、DXを推進する組織がある」との回答は35.5%だった。合計すると94.7%の行政機関が推進組織を設け、DXに臨んでいると分かった。「DXを推進する組織はない」と答えた機関は、わずか2.6%だった。
7割超がCDOを設置
DXを推進する責任者、いわゆるCDOの配置も進んでいる。「CDOはいますか」と質問したところ、「専任の責任者がいる」は27.6%、「他職務と兼任の責任者がいる」は43.4%だった。合計すると7割超の機関がCDOを設けていた。
民間企業など外部からの人材登用に積極的な姿勢も浮かび上がった。「デジタル活用を担う人材について、現在は民間などから外部人材を採用していますか」と尋ねたところ、「既に採用している」が71.1%に達した。
一方でDX責任者の権限などについては、課題が見えてきた。
DX責任者を設けている行政機関に「DX責任者の役職クラスとして、最も近いものを教えてください」と聞いた結果、「部長級」と答えた行政機関が35.2%あったのだ。「課長級以下」も1.9%存在した。