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 海外勢が電気自動車(EV)の電池電圧を800Vに高める動きを加速するのに対し、様子見の日本勢は対応を迫られる。注目を集めるのは、高級車を抱えるトヨタ自動車に加えて、ホンダとマツダである。一方で800V化に伴い、現在主流のSi(シリコン)からSiC(シリコンカーバイド)への置き換えが進む。800V化はSiCメーカーの競争の行方も左右しそうだ。

現代自動車の800V対応EV「IONIQ 5」。(出所:現代自動車)
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現代自動車の800V対応EV「IONIQ 5」。(出所:現代自動車)

 800V化に日系自動車メーカーが様子見なのは大衆車の販売が大半で、800V化が最初に進む高級車が少ないことが一因である。日本ではEVの普及が欧州や中国に比べて遅いこともある。さらに800V対応充電スタンドの導入の行方が見通せない。

 例えば日産自動車は、21年6月に予約受注を始めたEV「アリア」から採用するEV専用プラットフォーム(PF)の開発時に800V化を検討したものの、見送った。関係者は「インフラの問題や部品コストが高いことなどから時期尚早と判断した」と明かす。

 ただしこれからEV専用PFを開発するメーカーは、800V化の流れを無視しにくい。日系メーカーにとって重要な中国と米国で、25年以降にかけて800V化が広がる可能性があるからだ。日系と同様に大衆車が主力の現代自動車は800V化に対応した。

 今後注目を集めるのはホンダとマツダの選択である。ともに25年以降に投入予定のEV専用PFを開発中だ。PF開発時は、新技術を採用しやすい。逆に言えばここで盛り込まねば、しばらく800V化に対応しにくくなる。

 必要性という観点では、国内メーカーではトヨタ自動車が最も高いだろう。高級車ブランドの「レクサス」があるからだ。ドイツの高級車メーカーがこぞって800V化に対応する中、レクサスは避けて通れないのではないか。