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 ソニーグループから発足し不動産事業や人工知能(AI)開発などを手掛けるSREホールディングスの清水孝治執行役員DX推進室長は2021年10月12日、オンラインで開催されている「日経クロステック EXPO 2021」に登壇。「DX実現に向けた戦略と実践 ~『リアル×テクノロジー』で企業価値を向上~ 」と題して講演した。

 清水氏によると、同社のDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みは大きく3つのフェーズに分けられる。講演では、同社が各フェーズで実践した内容や成功のためのポイントについて紹介した。

「日経クロステック EXPO 2021」で講演するSREホールディングスの清水執行役員
「日経クロステック EXPO 2021」で講演するSREホールディングスの清水執行役員
(撮影:日経クロステック)

 第1フェーズは自社事業である不動産事業のDXだ。不動産の価格査定や顧客ニーズの分析など、自社の業務にAIを導入した。不動産査定書の作成においては同社が持つ不動産のデータを基に「AI査定ツール」を開発したという。

 従来同社は不動産価格の推定を人手で行っていた。AI査定ツールの導入により、その作業負荷を大きく削減。180分かかっていた査定業務を10分に短縮できたという。AIによる査定の精度については、人手による作業で7~8%だった市場の成約価格との誤差率が5~7%に低減した。

 続く第2フェーズでは、不動産業界にDXの対象範囲を広げた。具体的には、第1フェーズで自社用に開発したツールを他社向けのクラウドサービスとして販売したのだ。2018年の販売開始から3年間で、ツールの導入企業数は1000社を超えている。清水氏は「導入企業が増えたことで大量の不動産データが蓄積され、AIの精度向上や新サービスの開発に役立った」と説明する。サービスの改善サイクルが新たな顧客の獲得につながる「データエコシステム」(同)を確立できたという。

 清水氏は「データエコシステムにより、圧倒的な競合優位性を築くことができた。新たに競合が参入してきても類似サービスを作るのは難しい」と成果を語る。