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「市民のためのもの」から「市民と共に」へ進化

 タン氏は「こうした仕組みがスマート市民の育成につながる」と説明する。「スマートガバメントの実現にはオープンな意思決定を行うスマート市民が欠かせない。トップダウンの意思決定ではなく、市民志向、課題志向、問題ベースの分析モデルにシフトする必要がある」と語った。

 同氏は「DX(デジタルトランスフォーメーション)は機械と機械をつなぐだけでなく、人と人をつなぐ。それは常に民主主義の考え方に基づくべきだ」と強調する。そしてデジタルガバメント政策は、市民中心の考えに基づき市民と協力して設計されるべきだという。

 タン氏はその一例として、新型コロナウイルス対策として注目を集めたマスク需給情報アプリ「マスクマップ」に触れた。タン氏らは2020年2月、マスクマップを制作発表からわずか72時間足らずで開発。その後わずか3日で数百件に及ぶアプリがマスクマップのプラットフォーム上に公開された。「以前の非公開のアプローチに比べれば格段の進歩だ」(同)。

 デジタル民主主義は政府と市民が信頼し合い、共に作り上げていくものである。タン氏は「マスクマップの例はデジタルガバメント政策が『市民のためのもの』から『市民と共に』の状態へ進化できることを証明した。これこそが市民参加によるデジタル化の促進、別の言い方をすれば市民の力によるイノベーションだ」と話し、講演を締めくくった。