全2717文字
PR

 「DX(デジタルトランスフォーメーション)がなぜ今、企業に必要なのか。それは『アフターデジタル』にビジネスを対応させるため」とビービットの藤井保文氏は話し始めた。

日経クロステック EXPO 2021で講演するビービットの藤井保文氏
日経クロステック EXPO 2021で講演するビービットの藤井保文氏
累計19万部のベストセラー『アフターデジタル』シリーズの著者で、同社の執行役員CCO(Chief Communication Officer) 兼 東アジア営業責任者。(画像:日経クロステック EXPO 2021の配信をキャプチャー)
[画像のクリックで拡大表示]

 ビービットは東京と上海、台北にオフィスを構え、日本や中国、台湾においてUX(ユーザー体験)に関するコンサルティングなどを手掛ける。藤井氏は同社の執行役員CCO(Chief Communication Officer)で上海に駐在して東アジア営業責任者を兼務する。累計19万部のベストセラー『アフターデジタル』シリーズの著者でもある。オンラインで開催されている「日経クロステック EXPO 2021」で2021年10月11日、「アフターデジタル対応に必要な『UXグロースモデル』~あるべき時代対応と業務変革」と題して講演した。

詳細な行動データをビジネスに生かすためにDXが必要

 藤井氏はスマートフォンなどのデジタル機器やサービスが生活に浸透した現在の状況を「アフターデジタル」と表現。それ以前の「ビフォーデジタル」との違いを語っていく。ビフォーデジタル時代のビジネスはリアルな世界における顧客との対応が中心で、たとえばWebやスマートフォンアプリといった「デジタル」はあくまでも付加価値的な存在だった。ところがアフターデジタルの現在はこれが逆転している。人々のリアルの生活にデジタルが浸透してリアルを飲み込んでいるからだ。企業が顧客と接する機会もデジタルがむしろメインとなり、リアルでの接点はむしろ「レアで貴重な場」になっていく。

アフターデジタルの世界観ではデジタルがリアルを飲み込んでいる
アフターデジタルの世界観ではデジタルがリアルを飲み込んでいる
デジタルは付加価値ではなく、むしろ起点で今は「リアルというレアで貴重な場」の活用が焦点になっている。(出所:ビービット、藤井氏の講演スライド)
[画像のクリックで拡大表示]

 こうした変化によって引き起こされる世界観やビジネス構造の変化は「競争原理を揺るがす存在になる」と藤井氏は指摘する。デジタルの浸透で得られるユーザーの行動データを生かしたビジネスに転換するには、ビジネス自体のデジタル化が不可欠だ。つまりアフターデジタル時代の変化に対応するために企業はいや応なしにビジネスを「DX」する必要が出てくるというわけだ。

 これまでUXはWebやアプリの画面デザインや操作性といった表面的な接点、UI(ユーザーインターフェース)の話と捉えられがちだった。しかし、アフターデジタルにおいては、むしろUXがビジネスの根幹をなすと藤井氏は強調する。最適なターゲットに最適なタイミングで最適なコンテンツや体験の提供が可能になったアフターデジタルでは、顧客はその体験も含めた魅力で製品やサービスを評価するようになるからだ。