全4498文字
PR

Q2 コロナ禍で露呈した「デジタル敗戦」がデジタル庁を作ったのか?

 長年提案してきたことが今のタイミングで実現したことの背景には、コロナ禍で露呈した「デジタル敗戦」が影響していたのだろうか?

 この問いかけに対し村井氏は、「それはあんまり事実じゃない」と強く否定した。新たな省庁を作るというのは「並大抵のことじゃない」(村井氏)からだ。つまり、長い時間をかけて準備していたものが、このタイミングで実現したというのが村井氏の認識である。

 村井氏が長らく本部員を務めてきたIT総合戦略本部は、各省庁間、そして地方自治体と中央との調整ができないという限界を抱えていた。「できないことの多くの原因はそこに帰着していた」と村井氏は話す。「デジタル敗戦」と言われる状況の多くは行政サービスのオンライン化がうまくいってなかったことに起因する。IT総合戦略本部での活動に限界を感じていた村井氏にとって、敗戦はある意味「必然」であったというのである。

 デジタル庁はこうした問題を打破する可能性を秘めている。発足したばかりではあるが、同庁の発足を前提に、前倒しでシステム開発に着手した「ワクチン接種記録システム(VRS)」などの事例もある。村井氏はこうした点に期待していると語った。

Q3 デジタル庁、最も重要な役割は何か?

 端的に言ってデジタル庁に求められている最も重要な役割とは何だろうか?

 これに対し、村井氏は2つの要素を挙げた。1つは前述のようにシステムのデザインやアーキテクチャーを見直し、各省庁間や地方と中央のシステムがハーモニーを奏でられるようにすること。

 そしてもう1つ、より大事なミッションは、デジタルの力を使って1人ひとりの国民にきちんと対応できる体制を作ること。例えば、国民との接点となる地方自治体のスタッフがいかに楽に、そして高い品質で行政サービスを提供するための具体策を整備することだ。

 2つ目の課題はシステムだけの話ではなく、制度や法律が十分に整備できている話でもないと村井氏は話す。だがこれは、デジタル社会形成基本法の理念に関わる重要なミッションになる。