日経クロステックEXPO 2021で2021年10月15日、「Project PLATEAUの実現する未来」と題して講演した国土交通省都市局都市政策課の内山裕弥課長補佐。同省が2020年度に始動させた3次元(3D)都市モデルの整備・活用・オープンデータ化事業「Project PLATEAU(以下、プラトー)」の現状と展望について語った。
プラトーが目指すのは、「街づくりのDX(デジタルトランスフォーメーション)」。実現に向けて、全国の3D都市モデルを整備し、オープンデータとして流通させている。「データを公開するだけでなく、それらを活用して政策に反映する、あるいは新しいサービス・プロダクト・市場を創出するために、民間企業などと『ユースケース』(利用例)の開発を同時並行で進めている。これによって、街づくりにDXをもたらしたい」(内山課長補佐)
プラトーの3D都市モデルは、現実の都市空間に存在する建物などを3次元化し、テクスチャーを張ったり、屋根形状を再現したりしたものだ。見た目は「Google Earth」のような既存の商用3D都市モデルとよく似ているが、その中身は大きく異なる。
「一般的な3D都市モデルは、ポリゴンで形状を再現する『幾何形状(ジオメトリー)モデル』だ。形を再現しているだけで、それが何なのかという情報が含まれていないため、建物と地面、あるいは建物と建物の区別がつかない。一方、プラトーのモデルでは建築物を示す『ビルディングソリッド』、さらに『ウオールサーフェス(壁面)』、『ルーフサーフェス(屋根面)』などと、各パーツを定義し、区別できるようにした」(内山課長補佐)
さらにプラトーでは、こうした3Dモデルに、人流データや都市のゾーニング規制、災害リスク情報などを自由に重ね合わせて、さまざまなシミュレーションができるようにしている。