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民間企業がユースケースを次々に発表

 2020年度には、民間企業などと開発した44件のユースケースを公開した。内山課長補佐が講演で紹介したユースケースは、都市部におけるドローンの飛行解禁を見据え、最適な飛行ルートをシミュレーションする「物流ドローンのフライトシミュレーション」や、都心部の建設工事で工事車両が通行可能なルートを検証する「工事車両の交通シミュレーション」、三越伊勢丹ホールディングスと国交省が取り組んだ「バーチャル新宿」などだ。

 このうちバーチャル新宿は、「東京・新宿エリアをVR(仮想現実)空間で再現し、その中で電子商取引(EC)やさまざまなコンテンツの体験、コミュニケーションなどができるようにしている」(内山課長補佐)のが特徴だ。コロナ禍で外出が制限されるなか、新たな都市体験を提供しようと開発に取り組んだ。屋内空間をつくり込む労力が要るものの、「座標や一定の正確性を持つプラトーの3D都市モデルを使うと、工数を大幅に削減してVR空間を形成できることが分かった」と内山課長補佐は語る。

バーチャル新宿の概要(資料:日経クロステック)
バーチャル新宿の概要(資料:日経クロステック)
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 このほか、東急不動産やソフトバンクとは、東京ポートシティ竹芝(東京・港)とその周辺地区で「エリアマネジメントのデジタルツイン化」に取り組んだ。

 ビルのIoT(モノのインターネット)データを、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データをベースにつくった3D都市モデルに重ね合わせることで、人の密集具合を検知し、アラートを出して警備員を向かわせるといった使い方が可能になる。トイレの混雑具合を利用者に知らせたり、ごみ箱の回収時期を把握したりして、効率的にビルを管理できるようになる可能性もある。

 こうした成果はライブラリーとしてウェブサイト上で公開している。今後の展開について内山課長補佐は、「21年度も、スマートシティーの社会実装のような、現実の社会にインパクトをもたらすユースケースを深掘りしていきたい。テーマとしては自動運転やロボティクス、カーボンニュートラルなどだ」と明かす。

 これと併せて、自治体が効率的にデータをつくれるような手法を開発したり、建物以外のさまざまなオブジェクトもプラトーに取りこむことでデータを高度化したりする予定だ。