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経営視点でのコミュニケーション力も大事

経営層のITに対する理解が乏しいと悩んでいるCCoEの方や、そうした環境下でこれから始めようという方には、どういうアドバイスをされますか。

和田氏 経営層の理解がなくても、自分たちがやっていることが本当に正しいのか、会社の方向性と合っているかなど、必ず経営層とコミュニケーションをとらなくてはいけません。そのとき、「経営層の視点」でコミュニケーションすることが重要です。経営層の立場で見ると、単にコストを削減したいのではなく、新たなサービスを立ち上げたり企業風土を変えたりしたい。それらをクラウドで実現できるとなれば、クラウドをはじめとするITへの見方が変わってくるでしょう。

粟田氏 経営層にリポートするときは、セキュリティーがきちんとしているか、コストが適切に使われているか、アジリティーが高い状態が保てているのかなど、具体的あるいは定量的に観測できていることを伝える必要があります。

ビジョナルの粟田啓介氏
ビジョナルの粟田啓介氏
元々は DBRE(データベース信頼性エンジニアリング) を推進しているエンジニア。CCoE マネージャーとして自問自答の日々を送っているという。同社グループIT室 クラウドインフラグループ CCoE マネージャー。 (写真:加藤康)
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秋葉氏 クラウドを使ってパーツを組み合わせてシステムを作れることはDXのベースであり、必要条件だと思っています。しかし、実際にクラウドを使おうと思ったら、例えば決裁プロセスなど、社内プロセスとは違うことでぶち当たる壁がいっぱいあると思うんです。それらの壁を何とかすることに愚直に取り組むところから始めれば、その過程で見えてくるものがあるのではないかと思います。

CCoEという言葉はまだ十分に認知されていない

CCoE活動を続けている中での課題を教えてください。

秋葉氏 CCoEでは、現行業務に基づいて知識をアップデートする必要があるため、中心には専属メンバーがいるものの、兼務のメンバーをたくさん入れるかたちで組織化しています。そうした兼務メンバーが、現業とCCoE活動の両方で忙しくなってしまう。そのバランス取りが難しいですね。

粟田氏 当社の場合、プロダクトの非機能要件を改善するために2018年に誕生した組織がCCoEになっていった経緯があります。CCoEという言葉を使い始めたのは2021年2月ぐらいからで、まだ広く認知されているとは言いがたい状態です。だからこそ、目に見えるKPI(重要業績評価指標)設定を作るのが難しいですね。

CCoEのゴールは「文明を世界中に届けること」

CCoEのゴールやビジョンについて教えてください。

モデレーターの酒井真弓氏
モデレーターの酒井真弓氏
DXの現場に詳しいテクニカルライターで11月11日発売予定の書籍『DXを成功に導くクラウド活用推進ガイド CCoEベストプラクティス』(日経BP)の著者の1人でもある。Japan Google Cloud Usergroup for Enterprise Ambassador。著書に『ルポ 日本のDX最前線』(集英社インターナショナル)がある。(写真:加藤康)
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秋葉氏 半年かけて議論し、「クラウドシフトで想像を超える未来に導く」というキーワードを作りました。CCoEがクラウドでシステムを作る役割としてしまうと、みんながクラウドを活用できるようにはならないので、皆がクラウドを使えるようにする、導くというメッセージにしていこうという話をして、このキーワードを作りました。

和田氏 DNPには、その時々の新しいテクノロジーや文明を世の中の人たちに届ける「文明の営業」という言葉があります。それがたまたま印刷ビジネスだったのですが今、DXという形でいろいろと変わってきています。新しい技術や文化、文明をみなさんに届けるために、クラウドは当然必要になってくるので、世界中にサービスを届けることができるクラウドの世界を作っていこうというビジョンを共有しています。

粟田氏 「サービスのクラウドネイティブ化」と言われることがあると思うのですが、私たちのチームでは企業としてクラウドネイティブを実現するというビジョンを立てました。それでアジリティーを高く保つこと、クラウドに対するコストの適正化、セキュリティーの正しい活用などを目指しながらクラウドネイティブ化を実現するというビジョンを1年間かけて設定しました。今やっと軌道に乗り始めたところで、これから転ばないように頑張っていかなければいけないなと思っています。