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 2021年10月12日、日経クロステック EXPO 2021の2日目に、パネルディスカッション「DXを成功に導くクラウド活用推進組織『CCoE』―成功の秘訣―」が配信された。全社のクラウド活用を推進する組織「CCoE(クラウド・センター・オブ・エクセレンス)」に携わる先進企業の担当者が一堂に集い、実際にぶつかった数々の課題や今の取り組み、障害を克服するヒントなどを赤裸々に語り合った。なお、このパネルディスカッションの詳細は、11月11日発売の書籍『DXを成功に導くクラウド活用推進ガイド CCoEベストプラクティス』(日経BP)に収録される予定だ。

「DXを成功に導くクラウド活用推進組織『CCoE』―成功の秘訣―」のパネリスト
「DXを成功に導くクラウド活用推進組織『CCoE』―成功の秘訣―」のパネリスト
写真左から、モデレーターの酒井真弓氏、ビジョナル グループIT室 クラウドインフラグループの粟田啓介氏、JALインフォテック システム基盤サービス事業本部の秋葉一巳氏、大日本印刷 情報イノベーション事業部ICTセンターの和田剛氏。(出所:日経クロステック、配信動画をキャプチャー)
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組織にクラウドを根づかせるためのチーム「CCoE」

社内の業務改革や顧客への価値創出で、クラウドはDX(デジタルトランスフォーメーション)に欠かせない要素です。組織にクラウドを根づかせるためのチームが「CCoE」の位置付けだと思います。まず「CCoEとは何か?」を教えてください。

大日本印刷 和田氏(以下、和田氏) 皆さんの会社にもクラウド推進部や次世代インフラ推進部などの組織があると思いますが、それが実態としてCCoEに相当するのではないでしょうか。大日本印刷(DNP)の場合も、「CCoE」という組織名で設立して活動しています。そうすることで社内の人たちが、「あの人たちにクラウドを任せられる」という安心感を得られると思います。

大日本印刷の和田剛氏
大日本印刷の和田剛氏
「全社員をDX人材に」という会社の要望に応えるべく奮闘中。自分自身をCCoEにぴったりの人材だと考えている。同社情報イノベーション事業部ICTセンター システムプラットフォーム開発本部DX基盤開発部部長。(写真:加藤康)
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CCoEと似た活動は、以前ならIT部門が手掛けていたと思います。そうした活動との明確な違いはあるのでしょうか。

JALインフォテック 秋葉氏(以下、秋葉氏) 分業の進んだオンプレミスの技術によるシステム化が10年ぐらい続いている中で、いざクラウドを始めるとなると、いろいろなルールを乗り越えたり部署をまたがったりしないと、うまくいかない感覚があります。その辺りをCCoEという名前で部署を越えてまたがり、単独の部署ではなかなか解決できないことに取り組んでいく。そこがこれまでの部署ごとの取り組みとは違うのかなと感じています。

ビジョナル 粟田氏(以下、粟田氏) 当社の場合は、すべての部署が同じようにクラウドを使えることを目指して専門的な部分を集約し、各部署が自律的に動けるように進めています。

全社活動とするために取り組み方を工夫

CCoEへの取り組みは、会社の規模や業種・業態など、各社で異なると思います。皆さんはどういうアプローチで、何から着手したのでしょうか。全社を巻き込むためにどのような施策を打ったのですか?

秋葉氏 当社では、経営層の理解があって「どんどんやれ」という感じだったので、スピード感を持って取り組み方を考えました。クラウド活用に向けてのハードルはガイドラインやセキュリティーの部分だったので最初に着手し、ドキュメントを作成していきました。

JALインフォテックの秋葉一巳氏
JALインフォテックの秋葉一巳氏
CCoE活動で得られる知見やコラボレーションを楽しんでいるという。同社システム基盤サービス事業本部 システム基盤事業部 ハイブリッドクラウド基盤部 ハイブリッドクラウド運営グループ長 兼 CCoE。(写真:加藤康)
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和田氏 DNPの場合、CCoEはヒエラルキーのトップではなく、社内コミュニティーの中心になっています。クラウドはみんなの持ち物で、みながクラウドを使っていくことが会社の成長力につながるためです。そこで、情報共有や情報伝達、勉強会など、みなが会話できる場作りに最も力を入れました。ハッカソンを実施するなど、自然にクラウドを学べる環境や仕掛け作りを強く意識して活動しています。

粟田氏 コミュニティー活動は自然発生的に出てきてほしいので、クラウドプラットフォームのハンズオンや勉強会などを定期的に実施して社員を呼ぶ、といった活動に取り組んでいます。そこから先にはまだ踏み込めてはいないですが、今後は「遊びながら」できる取り組みも進めようと考えています。