全2888文字

クワッドアクセルによる建設業界の構造転換

 大手ゼネコンは元請けとして、下請けの技能やスキルをとりまとめ、活用する管理者としての立場を取るのが建設業の現状だ。しかしクワッドアクセルは作業内容に深くコミットしていくことで「今までの元請けとは違う役割を見いだそうとしている」と、浅野編集長は自身の見立てを高田氏にぶつけた。

 これに対し、高田氏は今までの元請けは施工計画を立てるにとどまり、作業の細部を把握して効率化を図ることができていなかったと認めた。クワッドアクセルは、ここにメスを入れようとしている。例えば、AIを用いた作業分析はその代表的な取り組みだ。前述のように、ベテランオペレーターの作業方法と、シミュレーターを用いた膨大な量のオペレーションを比較することで、ベテランの技だけでは見えてこなかった効率的な重機の操作も見えてきた。

 同様に、個々の重機の動かし方だけでなく、施工計画についても工程全体をシミュレートして幾通りものパターンから最適解を見つける方法も模索しているという。経験をベースに感覚的に行ってきた施工計画の立案が、大きく変わる可能性があるということだ。

 こうしたシステムの構築に当たっては、協力企業を募り、さらに新たな人材を獲得したうえで、コアな部分の内製化も必要となる。冒頭で紹介されたコンセプト動画のラストに登場した「土木をコードで書きかえろ。」というコピーは、今まで建設業界に目を向けることがほとんどなかったIT系の人材や企業へ向けたメッセージだったと高田氏は語る。

鹿島がクワッドアクセルを紹介する動画内に挿入したキャッチコピー「土木をコードで書きかえろ。」(資料:鹿島)
鹿島がクワッドアクセルを紹介する動画内に挿入したキャッチコピー「土木をコードで書きかえろ。」(資料:鹿島)
[画像のクリックで拡大表示]

 プログラムコンテストへの協賛や「これからの建設業は変わる」といったメッセージを出し続けることで、クワッドアクセルの開発に参画してくれる企業や人材が現れてきたという。

 新たな人材を入れてシステムづくりを自前で行いつつ、通信など環境面で他企業と連携を図る。クワッドアクセルのような新たなソリューションは、注力すべき部分を見極めつつ、「スピードを持って取り組まなければ実用化にはつながらない」(高田氏)

 最後にクワッドアクセルによる自動化の波を地球の裏側まで広げていきたいとの意気込みを語った高田氏。一方で、クワッドアクセルの力を発揮すべき成瀬ダムの次の現場が決まっていない点が喫緊の課題だという。浅野編集長は「挑戦できるフィールドがもっと出てくることを期待したい」と受け、本セッションは終了した。