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 「DXの最大のキーワードは巻き込み力。社内のメンバーに加えて、社外の皆さまともパートナーシップを組んで巻き込んでいく。そのためにはオープンマインドなリーダーシップが必要だ」――。日本航空(JAL)の西畑智博常務執行役員デジタルイノベーション本部長が2021年10月13日、オンラインで開催中の「日経クロステック EXPO 2021」に登壇した。

 講演のテーマは「JALのイノベーションへの挑戦」。同社は新型コロナ禍の顧客向け施策として空港のチェックイン端末のタッチパネルを非接触にしたり、空港内を案内する遠隔操作のアバターロボットを導入したりするなど、デジタル技術を活用した新たな試みを矢継ぎ早に打ち出している。西畑氏は社内外を巻き込んでDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める秘訣について、同社の工夫を紹介しながら解説した。

日本航空の西畑智博常務執行役員デジタルイノベーション本部長
日本航空の西畑智博常務執行役員デジタルイノベーション本部長
(撮影:日経クロステック)
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 JALはDX推進の中核拠点として本社近くに「JALイノベーションラボ(JAL Innovation Lab)」を設けている。ラボ内はチェックインカウンターやラウンジ、機内を模した構造で、アイデアを形にしながら現場での実験前に素早く課題の洗い出しや改善ができるようになっている。西畑氏は「3カ月を1つのタームとしてスピード感を持って実績を積み重ねることで、周囲の信頼を得られる」と話した。

 「ラボ会員制度」で現場社員のDXへの参画も促している。グループ社員の有志でラボ会員を構成し、客室乗務員や貨物、整備などのスタッフが自らDXの推進役となれる仕組みだ。外部のパートナー企業の技術やサービスと現場社員の知見や要望を融合し、アジャイルの開発サイクルが回る仕掛けづくりに力点を置く。

 講演では「次世代エアモビリティ事業領域」として「ドローン物流」や「空飛ぶクルマ」で物や人を運ぶサービス基盤の構想にも触れた。西畑氏は「お金はもちろん大事だが、心のエネルギーはこれからの新たな資本。持ち続けることでDXをさらに進められる」と強調した。