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 Helppadを使うと自動生成したパターン表から、要介護者ごとの排せつタイミングを個別に予測できるようになる。このため経験の浅い新人の介護職員でも的確なケアができる。導入後に1人当たりのオムツのチェック回数を1日10回以下に減らせた施設もあるという。「誰もが介護できる社会に少し近付いたと考えている」(宇井氏)。

排せつデータの管理を健康管理や支援につなげる

 排せつデータ管理は大きな可能性を秘めていると宇井氏は語る。

 食事や睡眠と違い、排せつは自分の意思で制御しにくい生活イベントだ。ただし「パターンはつかめるので、そこから生活全体を整える手助けができる」(宇井氏)。例えば、投薬や食事のタイミングを選ぶ、失禁したくない時間帯に入浴やレクリエーション活動を行うなど、排せつパターンが分かれば、それに合わせて生活パターンを変えて要介護者のQOLを高められる。「排せつは介護現場における最大の課題であると同時に、最高のソリューションでもある」(宇井氏)。

排せつパターンの把握で生活改善
排せつパターンの把握で生活改善
把握した排せつパターンに合わせて生活パターンを整えれば、要介護者のQOLを高められると宇井氏は語る(出所:aba、宇井氏の発表スライドより)
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 Helppadが搭載する臭気検知の技術をさらに発展させていく研究にも着手した。現場である介護職員に「ノロウイルスにかかった人の排せつ臭は通常と異なる」という話を聞いたのがきっかけだ。人の体調、腸内の状態と便の臭気には確実に関連性がある。この関係を解析できるようになれば、臭気センサーによって排せつタイミングだけでなく、健康状態を詳しく把握できる可能性があると宇井氏は話す。

 この関連で「腸内センシング」を手掛けるスタートアップAuB(オーブ、東京都中央区、鈴木啓太社長)とのコラボも話し合っているという。同社は便と健康状態を関連付けるソリューションを開発しており、健康な人の腸内状態のデータを大量に抱えているからだ。「我々は、例えば特別養護老人ホームなどに入所していて、複数の疾病を抱えて薬も飲んでいるような人の便のデータを集めている。見ているターゲットは違うがソリューションは似ているので協力し合えるのではないか」と宇井氏は期待する。