「リモートワークは、実は仕事になっているようでなっていなかったことに気付いた。そこで考え出したのが『VRオフィス』。VRオフィスだとほとんどリアルと同じ、一緒にいて話しているような感覚で仕事ができる」――。
2021年10月14日、オンラインで開催中の「日経クロステック EXPO 2021」の講演にメタリアル(2021年9月1日に持ち株会社制に移行し、旧社名のロゼッタから社名変更)の代表取締役CEO(最高経営責任者)である五石順一氏が登壇。「メタリアルの新事業子会社が進める『言語フリー』バーチャルオフィスの全貌、AIとVRで国境・場所・言語の制約を越える」と題して講演した。
メタリアルの五石氏は、同社および同社の事業子会社が進めているVR(仮想現実)空間上のオフィス「VRオフィス」と、自動翻訳により母国語だけで自由に会話ができる「言語フリー」の取り組みについて解説した。
VR空間もリアル空間と同じ、遠くにいると声は届かない
冒頭で五石氏は、360度VRの海中空間にある本社で仕事をする様子を動画でデモンストレーション。VR空間の中ではリアルと同じように会話ができることを説明した。
VRオフィスの空間はかなり広く、遠ざかると声が聞こえなくなる。リアルなオフィスと同じように、話をするには相手に近寄らないといけない。また、目線が合うか合わないか、どこを見ているか、ジェスチャー、握手、驚いた様子、ものを指し示す様子、上下や横を見る様子などが全部見え、VRはリアルにかなり近い感覚になるという。
何気ない会話がいかに重要かを思い知らされた
では、なぜメタリアルはVRオフィスを推進しようと考えたのか。
五石氏はコロナ禍の前から、出勤するための身支度や通勤にかかる時間が無駄と考えており、リモートワークの全面採用を社内に提案していた。コロナ禍に陥ったことから、ほぼ全員がリモートワークに切り替えざるを得なくなり、結果的には五石氏の思惑通りになった。