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 ところが、ことはそう簡単ではなかった。しばらく経つと五石氏は、リモートワークでは仕事になっているようでなっていないことに気付いたという。その大きな要因が「コミュニケーション」にあった。例えば、ある方針を決めていたのにも関わらず、その方針が守られていないといった事態が連発。「その方針は聞いていなかった」「それは掲示板に書いていたはず」「それは見ていません」……といった具合だ。

 「リアルだと、人が横で話をしているときに『ちょっと待って今の違うんじゃない?』や『今のは確かこうなったはずだよ』といった感じで話が進んでいくことがあるが、リモートではそれが完全になくなってしまう。声をかけようと思ったら、時間を合わせてミーティングをするしかない。完全に分断された状態で、みんながオフィスの中で個室に閉じこもって働いてるようなもの」(五石氏)。

 雑談をする、状況を報告する、相談する、アイデアを出す、認識の違いがあれば正すといった、何気ない普段の会話がいかに重要かということを思い知らされたという。

 そこで考え出したのが、冒頭にデモを披露した「VRオフィス」だった。

 「リアルとほとんど同じように、VRオフィスでは一緒にいて話しているような感覚で仕事ができる。移動の時間がない、物理的な場所の制限がない、時間も短縮されるというのがリモートワークのいいところ。しかし、リモートだと仕事の成果や効果そのものが消えてしまう。そこで、リアルと同じように集まった状態で、なおかつ通勤がなくなるのが理想的。それがVR。VRはリモートの効率性と、リアルで一緒に働いているときの効果を同時に実現できるものだ」(五石氏)。

全員が母国語だけでコミュニケーションし、議事録を書くことも不要に

 もう1つメタリアルが推進しているのが、どんな言語の話者でも母国語だけで仕事ができる環境を作る「言語フリー」だ。さらに「議事録フリー」も推進しているという。

 五石氏は、メタリアルが提供するコラボレーションサービス「YouConnect」を実演し、「言語フリー」でコミュニケーションができることを示した。実際、英語と中国語の話者がいて、それぞれが母国語を話し、五石氏は日本語を話す。しかし五石氏の端末には、会話がすべてリアルタイムに日本語に自動翻訳されて表示される。簡単な会話ではあるものの、デモを見る限り音声認識と翻訳の精度はかなり高い様子だった。

日本語、中国語、英語の話者が「YouConnect」を使って自由に会話をしている様子
日本語、中国語、英語の話者が「YouConnect」を使って自由に会話をしている様子
(出所:日経クロステック、配信動画をキャプチャー)
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