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 メタバースに関しては、「結果的に失敗に終わったSecond Lifeと何が違うのか」という疑問もよく投げかけられる。Second Lifeが失敗した理由を岩佐氏は「身体投射性が足りなかった」と分析する。高い没入感を得られること。これこそがメタバースを「もう1つの社会」と感じるのに不可欠な要素だと岩佐氏は強調した。

身体投射性を備えたVRであれば高い没入感を得られる
身体投射性を備えたVRであれば高い没入感を得られる
プレゼン画像内の左が現実の岩佐氏、右がVR内のアバター。まったく同じ動きをする。(出所:日経クロステック、配信動画をキャプチャー)
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同人ハードウエアをベースに安価に発売した「HaritoraX」

 VRの世界を身近にし、ユーザー拡大に大きく貢献しているOculus Quest2だが、弱点もある。メタバースのアバターに上半身の動きしか伝えられないのだ。そこでShiftallは、この弱点をカバーするために、全身の動きをアバターに伝えることができるフルボディー・トラッキング・システム「HaritoraX」を2021年7月に出荷開始した。

 従来のフルボディー・トラッキング・システムは選択肢が少ないうえに、10万円以上もする高価なものか、あるいは専門的な知識を必要とするものしか存在しなかった。しかし、HaritoraXの価格は2万7900円と低価格。安い価格で発売できた理由の1つは、個人で開発から販売まで手がける、いわゆる“同人ハードウエア”としてすでに販売され、実績があった「Haritora」をベースにHaritoraXを開発、量産化したからである。フルタイムのエンジニアとして働きながらHaritoraを開発したizm氏と提携して共同開発。ハードウエアやソフトウエアの設計資産を引き継ぎつつ、Shiftallが持つIoT機器の製造ノウハウを組み合わせて低価格化した。

 講演の終盤では、HaritoraXとOculus Quest2を装着した岩佐氏がizm氏とVRChat内で対談する様子も披露した。両者とも、VRChat内では女性のアバターで登場。VRメタバースの芽生えとも言えるVRChatの様子を具体的にデモンストレーションしながら、HaritoraXがリリースに至った経緯などを楽しそうに語り合い、講演を締めくくった。

VRChat内での対談の様子
VRChat内での対談の様子
VRChat画面内の左が岩佐氏のアバター、右がizm氏のアバター。右下は、HaritoraXとOculus Quest2を装着してアバターを操作する現実の岩佐氏。(出所:日経クロステック、配信動画をキャプチャー)
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