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目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
SDGsテック「変電所・開閉装置の詳細」

 今回の分析で見いだしたSDGsテックは「変電所・開閉装置の詳細」で、具体的には「送電網の安定化を支えるテクノロジー」である。送電網を安定させることは、途上国にとって「エネルギーをみんなに」という目標に沿うものだが、実は途上国だけではない。脱炭素への関心が高まっており、先進国では再生可能エネルギーへの転換が急速に進むと見られている。再生可能エネルギーの多くは自然現象に由来するので発電量は不安定になり、これまで以上に送電網の安定が重要になるからだ。そして、その実装技術としては「次世代スマートメーター」を挙げている。三治氏は目標7に関連した技術要素が300項目を超える中、重要な技術を特定していくと“安定して届ける”技術に集約されていくと述べた。また、次世代スマートメーターも、家屋や建屋単位の電力消費検出だけでなく、地域や発電所単位で区切った電力管理にも対応することで安定した送電網の実現につながるとした。

目標3:すべての人に健康と福祉を
SDGsテック「加水分解したたんぱく質とその誘導体」

 目標3で挙がったSDGsテックの技術要素としては「ヒトの腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう・腸内フローラ)」「プロバイオテックス、プレバイオテックス」となっている。具体的にはヨーグルトなどの発酵乳製品に関連する技術である。このように以前から「習慣的に効果があると思われていたものに科学的アプローチで解明していくことも重要なこと」と三治氏は語っている。

目標14:海の豊かさを守ろう
SDGsテック「プラスチックと他の材料の分離」

 目標14の技術要素としては廃プラスチックリサイクルが挙がっており、実装技術としては「生分解性プラスチック、バイオプラスチック」を抽出している。三治氏はユニークな点として、プラスチック再利用技術がアジア諸国で進んでいる一方で、積極的でない欧米諸国ではプラスチック廃止を志向するなど、国や地域による違いが出てくる傾向を挙げている。

目標6:安全な水とトイレを世界中に
SDGsテック「殺菌剤・有機材料添加による水処理」

 目標6の技術要素では「水に含まれている不純物を除去するテクノロジー」「水の機能を向上させ健康推進・維持するテクノロジー」が挙がっている。三治氏は、水に関連したトレンドとして、水から不純物を“除去するテクノロジー”にアドオンして水の機能を向上させていくようになっており、そこが“水の付加価値”になると説明した。

 最後に三治氏は、企業に考えてほしいこととして、これまで人の幸せを考えてきたところを、SDGsでは地球の幸せも考えるところにつながっていくとし、そこで付加価値を生んでそれがビジネスに変わっていくと述べ、SDGsに企業が取り組む意義を訴えた。