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 「非接触ショッピングソリューション」の市場は、「無人店舗・無人決済店舗型」と「仮想空間型」に分類した。そのうち、無人店舗・無人決済店舗型の市場規模は約2兆円と試算。「Amazon Go」などが代表例で、顧客や商品の認識技術などを組み合わせることで実現が可能だ。一方の仮想空間型は、それより規模が小さく約1200億円と見込んだが、もっと大きくなる可能性が高いという。

 「コロナ禍になって実店舗を閉めざるを得なくなった企業は、それ以前にあえてEC(電子商取引)にシフトしていなかったといえ、それは実店舗でしか提供できない価値があると判断したからだと思う。そうした企業はここに来て単純なECではなく、仮想空間型のVR店舗に注目している。VR店舗を容易に構築できるソリューションが提供されるなど環境は整ってきており、1200億円と試算した調査結果より、市場はもっと成長するかもしれない」(松山)

 鈴木氏が注目するのが、「非接触タッチパネル・ディスプレーソリューション」で、その想定市場規模は約2兆円だ。こちらは世界市場規模としている。「しかしこれが、全て置き換わるとは限らない」と鈴木氏はいう。「タッチパネルは、スマートフォンなど個人向け用途が全体の60%、公共用途が40%。ここで重要なのは後者である。前者は不特定多数の人が触れる可能性が低いため非接触化は少し遅れるのではないかと見ている」

 「人の行動はなかなか変わらないが、新しい行動様式に一度シフトすれば長く続くだろう。これからの市場といいながらも、早いうちに勝負が決まってしまう可能性がある。のんびり構えることなく、それぞれの企業が新しい行動様式に対して何ができるのかを研究し、ビジネス拡大につなげてほしい」と松山は本講演を締めた。