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 「国民が申請をしなくても給付金をきちんと受け取れるインフラづくりを進めている」――。デジタル庁統括官(デジタル社会共通機能担当)の楠正憲氏は2021年10月18日、オンラインで開催中の「日経クロステック EXPO 2021」に登壇。2021年9月に発足したデジタル庁について、今後取り組む施策や組織体制などについて説明した。

デジタル庁統括官(デジタル社会共通機能担当)の楠正憲氏
デジタル庁統括官(デジタル社会共通機能担当)の楠正憲氏
(撮影:日経クロステック)
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 楠氏は「デジタル庁の発足と、国民目線のデジタルサービスの実現へ向けて」と題して講演した。「新型コロナウイルス感染拡大への対応の中で給付金の支給が遅れるなど、日本のデジタル化の課題が顕在化した。デジタル敗戦とも呼ばれた」と楠氏は話す。この反省から、デジタル庁では当面コロナ禍における経済対策に円滑に対応できるようにインフラを整備する考えだ。

 具体的にはマイナンバーカードを利用した公金受取口座の登録を早期に始め、緊急時における給付や事務処理の迅速化を目指す。申請ありきで事務手続きが大量に発生するやり方ではなく、給付をきちんとできるインフラを整備するという。実際に2020年末には子育て世帯生活支援特別給付金の5万円を、児童手当の口座に申請なしでも自動で給付することができたという。同様の取り組みを徐々に拡大する。

 楠氏はデジタル庁の組織体制にも触れた。現在4つのグループに分かれ、業務を始めているという。官房機能を担う「戦略・組織グループ」、マイナンバーをはじめとしたデジタル社会を支える共通機能に関する「デジタル社会共通機能グループ」、主に住民が直接触れる行政サービスに関わる「国民向けサービスグループ」、国の情報システムを統括する「省庁業務サービスグループ」だ。

 デジタル庁の中でシステム品質を担保するための体制も整備する。技術や情報セキュリティーのチーフオフィサーに民間から各分野の専門家を登用したことなどを挙げる。コロナ禍で厚生労働省が開発した接触確認アプリ「COCOA」では様々な品質上の問題が発生したことの反省を踏まえた。「品質に関してベンダー任せにするのではなく、デジタル庁で責任を持つ形をいち早く構築していく」と楠氏は強調した。

 2021年9月に立ち上がったデジタル庁は、2021年6月に閣議決定した「重点計画」を進めるほか、デジタル改革の主な項目である「新重点計画」を年内に公表する。「いままさに議論を始めている」と楠氏は話す。