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 その前提を踏まえたうえで、「12の未来シナリオ」をスライドで提示した河井は、この12が選抜された理由を三治氏に尋ねた。三治氏は「社会活動として外せない課題」「産業として外せない課題」「安心して楽しく暮らせる社会を実現するための課題」と、社会に存在する課題ごとの未来を提示した結果だとする。中でも「死の未来」は、コロナ禍で人間の本質を見つめ直す機会が増えたことを受けての本書ならではの視点だという。

12の未来シナリオ
12の未来シナリオ
(出所:日経クロステック、配信動画をキャプチャー)
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書籍では「死の未来」や「ウィズ・アフター・コロナの未来」をイラストで解説
書籍では「死の未来」や「ウィズ・アフター・コロナの未来」をイラストで解説
(出所:日経クロステック、配信動画をキャプチャー)
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 河井の次の質問は、「12のテーマが決まったとして、それについて意見を出し合うことはできても、ストーリーにまとめるのは難しいのではないか?」というもの。これについて三治氏は、PwCコンサルティングが持つ「未来創造コンサルティング」という手法を活用したと述べた。

 ディスカッションを通じて自分の中でのアイデア、課題に対してシナリオを作り、未来を描いたうえで事業戦略を立てるのがこの「未来創造コンサルティング」というアプローチだ。同書を執筆する際にも、多彩なバックグラウンドを持った50人以上のコンサルタントが参加して、どんな未来が到来するのかをディスカッションし、その中から未来のシナリオを描き、それを実現するのに必要な技術を想定。さらにその技術がどのように進化していくのかをテクノロジーサイドから分析し、その進化過程が未来に与える影響をフィードバックして未来のビジョンを修正していったのだという。「このような複雑な手法を採るのは、予測する未来像に偏りが生まれることを防ぐためだ」(三治氏)。