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 水道、道路、電力網など、私たちの生活を支えているインフラ。こうした従来のインフラに加えて、これからの脱炭素社会やデジタル社会を迎えるに当たって、“次世代型”のインフラが台頭し始めている。再生可能エネルギーが代表的だ。実はこの次世代型のインフラ構築・運用は、今後の日本に大きな経済成長をもたらす可能性を秘める。多くの企業にとって、そこに大きなビジネスチャンスがあるわけだ。

 「日経クロステック EXPO 2021」では、最終日の2021年10月22日に「経済成長の起爆剤に!グリーン・デジタル社会のインフラ構築事業」と題したトークセッションを開催。専門レポート「グリーン・デジタル社会をつくるインフラ事業構築&投資戦略」(2021年12月発行予定)の著者であるインフラビジネスパートナーズの菅健彦氏と平島寛氏を迎え、グリーン・デジタル時代のインフラ構築・投資ビジネスで成功を収めるための、投資戦略のポイントを解説した。日経BP TechFindプロデューサー河井保博がモデレーターを務めた。

インフラビジネスパートナーズの菅健彦氏(中央)、平島寛氏(右)とモデレーターを務めた日経BP TechFindプロデューサーの河井保博(左)
インフラビジネスパートナーズの菅健彦氏(中央)、平島寛氏(右)とモデレーターを務めた日経BP TechFindプロデューサーの河井保博(左)
(出所:日経クロステック、配信動画をキャプチャー)
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 セッションの冒頭では菅氏がここで話題にするインフラを「不可欠性と公共性を兼ね備えた社会基盤」と定義。インフラには、事業規模が大きく波及効果が高いという側面と、長期にわたって安定したキャッシュフローが見込めるという側面の2つがあると語った。インフラとは「人間が人間らしく生きるためのもの」だからだ。

 ところが日本は、社会保障費の増大や人口減少に伴う税収の減少により、国や地方自治体による予算確保が困難になってきている。例えば国土交通省が発表しているインフラの維持管理・更新に必要とされる金額は、2019~48年までの累計で最大約195兆円に上る。一方で政府が国土強靱(きょうじん)化に用いるとアナウンスしている予算は5年間で15兆円程度でしかない。

 そこで期待されているのが、広範な業種にわたる民間企業からの投資と事業参画だと平島氏は指摘する。脱炭素社会、デジタル社会に向けた新しいインフラの構築も求められる中で、そのニーズはどんどん拡大していく。ポイントは、金融機関や機関投資家など資金を投じる「金融投資家」と、事業会社として技術・設備やノウハウを提供する「戦略投資家」がそろって参画すること。こうした異業種がタッグを組んでインフラ構築・投資に参画する動きは、世界的に加速しているという。

大規模な資金が動くインフラ事業は企業にとってのビッグチャンス
大規模な資金が動くインフラ事業は企業にとってのビッグチャンス
(出所:日経クロステック、配信動画をキャプチャー)
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