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注目領域は再エネにはじまるカーボンニュートラル

 では今後の日本において、どういった領域のインフラ構築・投資に注目すべきか。 モデレーターの河井の問いに対し、菅氏は「まずは再生可能エネルギーの発電施設、あるいはその送電施設」と即答。中でも洋上風力発電施設は事業の裾野が広く、新たに大きな産業となるのではないかと話した。さらに、洋上風力発電に限らず、カーボンニュートラルの中心とも言えるグリーン・エネルギー分野は全般的に大きな成長が期待されているという。

 太陽光発電に関して言えば、2030年までに設備容量として最低でも100GWの発電能力が目標とされているが、2020年の時点では61GWしかない。39GW以上を新たに賄う必要がある。その建設費は1MW当たり1億~2億円が必要となる。トータルすると約4兆円を超える。同様に洋上風力発電なら2030年までの目標を達成するためには2兆円以上の建設費が必要になる。前述のように発電施設はそれ単体では機能せず、送電施設などを含めれば、建設費だけでもその数倍の規模になる。その多くの部分に、民間企業からの投資が期待される。

 当然、企業は参画したインフラの構築・運営により対価を得ることができる。そこで利益を確保するためにマネタイズとリスク回避の工夫は必要だが、数十年以上の長期にわたって運用が続くインフラ事業では、企業は大規模かつ安定した収入を期待できる。1社単独ではなく、異業種が力を合わせることで、マネタイズは現実味を増す。こうしたインフラ構築・投資ビジネスについて、「分かっている人たちは既に走り出している」(菅氏)という。

最大の注目分野はグリーン・エネルギー
最大の注目分野はグリーン・エネルギー
(出所:日経クロステック、配信動画をキャプチャー)
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 こうしたインフラの拡大はエネルギー領域にとどまらない。社会全体のデジタル化に伴い、5G(第5世代移動通信システム)など携帯電話の通信基地局や公衆Wi-Fiのアクセスポイント、街路灯、デジタルサイネージといった多彩な機能を持たせた「スマートポール」の整備や、2023年の商用サービス開始を目標と定めている「空飛ぶクルマ」、人やモノの動きを捉え安全で暮らしやすい環境を提供する「スマートシティ」の構築など、デジタル社会としてのインフラも重要である。ここでも、実に多様なインフラ構築・投資ビジネスが生まれてくるはずだ。

スマートシティ、空飛ぶクルマなどデジタル社会のインフラも要注目
スマートシティ、空飛ぶクルマなどデジタル社会のインフラも要注目
(出所:日経クロステック、配信動画をキャプチャー)
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 次世代のインフラ事業への期待と課題に加え、セッション後半ではこの分野で既に実績を上げ始めている「参考にすべき注目のプレーヤー」の動きを解説。さらに、海外から日本へ、あるいは日本から海外へといった国際的なインフラ投資についての現状や課題、取り組み方なども紹介した。