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 企業の多くは、働き方が変わったためにオフィスを移転する。このためネットワークも「とりあえず現行踏襲で」とはいかない。移転を機に見直す必要がある。そこでいくつかの事例を基に、見直す際のポイントを解説する。

回線見直しでコスト削減

 ほとんどの場合、移転によってオフィスの床面積が増減する。出社する社員数の変動により適した広さのオフィスに移転するケースは多い。

 昨今はテレワークの普及によりオフィスを縮小する企業が増えてきた。ここで検討すべきなのがインターネット回線の帯域見直しだ。

 テレワークが普及すると同時に、業務システムのクラウド移行が進んでいれば、社内LANを経由せずに社外から業務システムへアクセスできる。出社する社員数も減るため、社内LANからインターネットへの通信量も減るだろう。移転のタイミングで契約する帯域を見直せばコストの削減につながる。

インターネット回線を見直す
インターネット回線を見直す
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 ただしオフィスを縮小するからといって考えなしに契約帯域を狭めるのは禁物だ。NTT東日本ビジネスイノベーション本部バリュークリエイト部担当部長の蛭間 武久氏は「契約するインターネット回線の帯域を決める際に、どのシステムのトラフィック量が多いのかを把握し、そのシステムのための帯域を確保することが重要だ」と指摘する。

 移転先における使われ方を想定し、必要な帯域を十分検討してから、契約を見直す必要がある。

ネットワーク機器を取捨選択

 2021年1月に東京・品川区から同豊島区へ本社オフィスを移転したNTTデータビジネスシステムズは、オフィスを縮小した企業の1社だ。床面積は5183m2から4165m2に縮小した。

 「床面積が縮小するのに応じネットワーク関連の機器を収容するスペースも見直した。何を持っていき何を捨てるか、取捨選択に苦労した」(第一システム事業本部ITソリューション事業部デジタルサービスビジネス部グループマネージャーの日浅 逸策氏)という。

 同社ではオンプレミスに設置していた開発環境用の機器を仮想化して、データセンターに構築したプライベートクラウドに移行させた。これで設置スペースを削減した。

 逆に広いオフィスへ移転する企業もある。2021年5月に東京・千代田区から同江東区へ移転したリーガルフォースは床面積を約1300m2から約4000m2に拡大した。

 「『クリーンルーム』という機密度の高い業務情報を扱うためのスペースを設けた。クリーンルームに社内LANと完全に分離したインターネット回線を引いている」(リーガルフォース情報システムマネージャーの佐藤 浩樹氏)。このようなネットワーク分離の構成も移転の際には検討しやすい。