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JNCAPの最新試験から、自動ブレーキの夜間性能に関する4つのポイントが見えてきた。トヨタ自動車の上級車などが強さを見せ、日産自動車の軽自動車も初めて最高点を獲得した。これまで他社に差を付けられていたホンダとSUBARU(スバル)は巻き返しに成功した。ただ、各社の自動ブレーキシステムの改良が進み、夜間性能の差は確実に縮まってきている。

 JNCAPの20年度試験の結果から、夜間歩行者対応の自動ブレーキに関する4つのポイントが見えてきた。第1のポイントは、トヨタの上級SUV(多目的スポーツ車)「ハリアー」が最高点を獲得して強さをみせたことである。第2のポイントは、日産の「デイズ」が軽自動車で初めて最高点を獲得したことだ。

 第3のポイントはホンダの小型車「フィット」と共に、SUBARU(スバル)の中型ステーションワゴン「レヴォーグ」が巻き返したこと。そして第4のポイントは、各社の自動ブレーキで夜間性能の差が縮まってきたことである。

トヨタ、車種で夜間性能に差

 トヨタのハリアーは、同社のADAS「Toyota Safety Sense(第2世代:TSS2)」を搭載する。主要センサーとしては、デンソー製の単眼カメラとミリ波レーダーを使う。同じシステムを搭載する上級ミニバン「アルファード」や中型SUV「RAV4」は、19年度のJNCAPの夜間歩行者試験(街灯がない場合、以下同じ)で最高点を獲得していた。トヨタのシステムは、2年連続で好成績を収めた(図1)。

図1 トヨタの中型SUV「ハリアー」
図1 トヨタの中型SUV「ハリアー」
ミリ波レーダーと単眼カメラで夜間歩行者を検知する。夜間歩行者を対象にしたJNCAPの最新試験で満点を獲得した。(写真提供:トヨタ自動車、図の作成:日経Automotive)
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 一方、小型車「ヤリスシリーズ(ヤリスとヤリスクロス)」は、最高点を獲得できなかった。同シリーズは、TSS2の改良版を搭載する。改良版システムで使う単眼カメラは、TSS2のカメラに対してハードウエアの仕様を変えず、ソフトウエアだけを改良して交差点に対応させたのが特徴である。

 改良前のTSS2はデンソーの単眼カメラとミリ波レーダーを使っていたが、改良版ではドイツContinental(コンチネンタル)の単眼カメラとミリ波レーダーを採用した。トヨタは、改良版の夜間性能は改良前と変わらないとしていたが、実際には改良版を搭載するヤリスシリーズは満点を獲得できなかった。

日産、軽自動車で初の最高点

 日産のデイズに搭載する自動ブレーキも、主要センサーとして単眼カメラとミリ波レーダーを使う。これらのセンサーは、中型ミニバン「セレナ」などに搭載しているものと同じである。同車は19年度のJNCAPの夜間歩行者試験で最高点を獲得しており、日産のシステムは2年連続で好成績を収めた(図2)。

図2 日産の軽自動車「デイス」
図2 日産の軽自動車「デイス」
ミニバン「セレナ」や小型SUV「キックス」などと同じ単眼カメラとミリ波レーダーを搭載する。夜間歩行者を対象にしたJNCAPの最新試験において、軽自動車で初めて満点を獲得した。(写真提供:日産自動車、図の作成:日経Automotive)
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 デイズに搭載した最新の単眼カメラはドイツZF製であり、画像処理チップにはモービルアイの「EyeQ3」を使う。同カメラの夜間性能を高めるため日産はハードの仕様は変えず、モービルアイと共同でカメラのソフトを改良した。カメラに搭載するEyeQ3は、画像処理プロセスに機械学習を適用する。カメラで撮影した画像と照合する教師データを増やすことで、夜間歩行者の認識精度を高めた。