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 球状の樹脂製フレームに覆われたドローンが「サッカーボール」となって空中を飛び交い、ゴールを競う――。こんな奇想天外なドローンの活用事例が現れた。

 この競技は、2016年に韓国で始まった「ドローンサッカー」というスポーツである。日本では、オートバックスセブンと同社の子会社でドローン関連事業を手掛けるエー・ディー・イー(ADE)、ドローン関連システムなどを提供するオーイーシー、AI(人工知能)ソリューションなどを開発するAOSテクノロジーズの4社が2019年11月に任意団体の「日本ドローンサッカー連盟」を設立し、韓国の「大韓ドローンサッカー協会(KDSA)」と提携した。2021年4月には一般社団法人となり、ドローンサッカーの普及を進めている。

空中のゴールポストを狙う

 ドローンサッカーは、5機対5機で繰り広げるチーム競技だ。幅7メートル×奥行き16メートル×高さ5メートルの専用ケージがフィールドとなる。ケージ内の左右の端に近い空中にリング状のゴールポストを設置してあり、ここに直径40センチメートルのドローンボールを通過させると得点となる。ゴールポストのサイズは、内径60~80センチメートル、外径1~1.2メートル、厚さ20センチメートル以上で、2~3メートルの高さに設置する。

直径40センチメートルのドローンボールを使うドローンサッカー競技場「ADEドローンサッカーアリーナ」
直径40センチメートルのドローンボールを使うドローンサッカー競技場「ADEドローンサッカーアリーナ」
(出所:日本ドローンサッカー連盟)
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 サッカーボールとなる機体は、レース用のドローンをプラスチック製の球状のガードで保護している。墜落や衝突による機体の損傷を軽減するためだ。通電時に機体周囲のLEDが光り、自機の位置が分かりやすい。機体はバッテリーで駆動し、2200ミリアンペア時(mAh)のバッテリーが推奨されている。機体の重さはバッテリーを含めて1キログラム程度だ。

ドローンサッカーのボールとなる機体
ドローンサッカーのボールとなる機体
(出所:日本ドローンサッカー連盟)
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 ゴール権のある「ストライカー」は1機であり、残りの4機は味方チームのストライカーを支援したり、敵チームのストライカーを制したりする。1セット3分の競技を3回行って、2セット制したチームが勝つ。ゲームの間には、バッテリー交換など機体のメンテナンスのために5分間のブレイクタイムを設ける。

 日本ドローンサッカー連盟の淡路康晴理事は、ドローンサッカーの普及に取り組む理由を次のように話す。「オートバックスの店舗で空撮用ドローンを販売してきたが、ドローンにはネガティブなイメージもある。エンターテインメント領域でイメージアップを図りたい」。

 ドローンを巡っては過去に、東京・永田町の首相官邸の屋上にドローンが落下してドローンの飛行規制が設けられたり、飛行禁止区域においてドローンを飛ばして逮捕者が出たりする事件もあった。

 最近は農薬散布や測量、災害現場などで使われる機会も増えているが、一般消費者がドローンを身近に感じる状況にはなっていない。ドローンを活用したスポーツを普及させることで、ドローンを一般消費者に親しみやすくしたい考えだ。