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 広島県尾道市の郊外にある「広島県立びんご運動公園」。山陽新幹線の新尾道駅から車で5分ほどと近く、野球場や陸上競技場、プール、キャンプ場などを備えた総合公園で、昼間は地元住民の憩いの場としても親しまれている。だが山中に位置することもあり、夜間はしばしばイノシシが侵入。エサとなる昆虫の幼虫を探して土を掘り返すなど、芝生や木々を荒らす被害が発生していた。

「広島県立びんご運動公園」におけるイノシシの侵入被害の例。土が掘り起こされている
「広島県立びんご運動公園」におけるイノシシの侵入被害の例。土が掘り起こされている
(出所:ドローンパイロットエージェンシー)
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 こうしたなか、イノシシの侵入被害を減らす取り組みに一役買ったのがドローンだ。鳥獣被害対策事業を手掛けるDMM Agri Innovation(以下、DMMアグリ)は、公園を管理する広島県の獣害対策支援業務の公募で採択され、ドローンを活用した現地調査を2021年1~3月に実施。イノシシの生息域や、びんご運動公園への侵入ルートを把握することに成功した。

木々の間を縫うように操縦

 DMMアグリのもとでドローンを活用してイノシシを撮影したのは、ドローンによる構造物の劣化診断や保守点検などを手掛けるDRONE PILOT AGENCY(ドローンパイロットエージェンシー)である。

 同社の上野豪CEO(最高経営責任者)は次のように語る。「既存事業にとどまらず、ドローンの新しい活用法を提案したいと考えた」。

 同社が調査に使用したのは、中国DJI製のドローンである「Phantom 4 Pro」「Inspire 1」「Matrice 200RTK」の計3台である。イノシシは夕暮れから夜に動きが活発になることから、撮影にはDJIの赤外線カメラ「Zenmuse XTシリーズ」を使用した。ドローンによる撮影に7日間を要し、延べ50回飛ばしたという。

調査のため、びんご運動公園とその周辺の上空を飛ぶドローン
調査のため、びんご運動公園とその周辺の上空を飛ぶドローン
(出所:ドローンパイロットエージェンシー)
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