「IT資格実態調査」を2021年9月、日経クロステックで実施。編集部が選んだ49種類の資格についてアンケート形式で、IT資格の保有状況や役立ち度合い、今後の取得意向を調べた。284人の回答から、IT資格の最新動向をひもとこう。
資格保有率が持ち直す
まずは、現在保有しているIT資格の状況を見る。
回答者が「保有している」というIT資格をすべて答えてもらい、10人以上が保有するものについて回答数の多いものから並べた。
最も多いのは「基本情報技術者」で176人が保有する。全回答者284人に占める「回答率」は62.0%である。2位は「応用情報技術者」で152人(回答率53.5%)、3位は「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」で67人(同23.6%)だった。トップ3の顔ぶれと順位は、2020年9月に実施した前回調査と同じだった。
トップ3の回答率、言い換えれば「資格の保有率」は前回調査に比べていずれも上がった。基本情報技術者は前回回答率が57.1%だったので、4.9ポイントのプラス。応用情報技術者は前回に比べてプラス11.5ポイントと、全49種類の資格のうち最も伸びが大きかった。登録セキスペはプラス1.0ポイントだった。
伸び率が大きい資格の2位は「情報セキュリティマネジメント」でプラス9.8ポイント、3位は「プロジェクトマネージャ」でプラス9.6ポイントだった。
2020年は新型コロナの拡散防止対策で、IPA(情報処理推進機構)が「令和2年度春期試験」の全試験を中止、「令和2年度10月試験」では資格によって試験が見送られるなど従来より受験機会が少なかった。特に保有率が大きく伸びた資格については、そうした反動が一因と考えられるだろう。
保有率の上昇傾向は資格全体にわたる。全回答数を回答者数で割った「1人当たりの資格保有数」は3.80。前々回が4.35、前回が3.26だったので、やや持ち直したといえるだろう。
保有率が前回より下がった資格は18個あった。下げ幅が最も大きいのは「ITIL系(EXIN認定試験/ITILファンデーション試験など)」でマイナス5.7ポイント。続いて、「技術士(情報工学部門)」のマイナス2.7ポイントだった。一過性の現象なのかどうか、今後を注視したい。