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 IoT(モノのインターネット)技術などを活用した次世代のものづくりに向けて、様々な企業の連携を目指す「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)」。製造現場の「困りごと」の発掘・分析・実証実験までを行う「業務シナリオWG(ワーキンググループ)」の2020年度の活動から、IVI内で表彰された取り組みを4回にわたって解説する。

 第4回の今回は、物流現場の動画を人工知能(AI)で分析し、IE(経営工学)による改善に生かす取り組みを紹介する。マツダなどの社員からなるWG「6C03」が手掛けた。

 マツダは生産ラインにおける部品供給の効率化と安全向上のため、動画分析システムの活用を進めている。実証実験に取り組むのは、同社本社工場(広島市)にあるホワイトボディーの組み立てライン。フォークリフトに搭載したカメラの動画を分析して、動線や積載状況を分析し、無駄を探し出そうとしている(図1)。

 取り組みは今まさに進行中であるが、これまでに分かってきたこともある。フォークリフトの稼働時間のうち37%が、部品も空パレットも運んでいない「カラ走行」の状態だったのだ。

図1 工場内を走る車両
図1 工場内を走る車両
マツダ本社工場のホワイトボディー組み立てラインでは、約50台のフォークリフトが稼働している。(出所:マツダ)
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 この生産ラインでは約50台ものフォークリフトが、保管棚から板金などの部品を供給している。工場内の大型ディスプレーに部品の供給状況が表示されるので、フォークリフトの運転者はその情報と現場の状況を基に、部品供給が絶えないようにしている。

 同社によると、フォークリフト作業の無駄を分析するのは、これまで難しい取り組みとされてきた。同社技術本部生産企画部主幹の吉岡新氏は「生産工程が複雑化している上に、安全性の確保に課題があった」とその理由を話す。

 一般に、生産現場の改善活動では、分析対象の作業時間をストップウオッチで計測して無駄を可視化する手法が使われている。しかし、1日中走り回る車両50台の動きを人手で正確に記録するのは、現実的ではない。また、ストップウオッチで計測するには、人が個々の車両を追跡する必要がある。車両と接触して事故に至る危険もあった。