ドイツが2011年に産業政策「Industry 4.0」を掲げてから今年でちょうど10年の節目になる。工場のIoT(Internet of Things)化を軸に、「デジタルツイン」「マスカスタマイゼーション」「予兆保全」といったキーワードが示したスマート工場の理想は今、どこまで実現されたのだろうか。Industry 4.0と産業用IoTの現状や課題を探る。

Industry 4.0と産業用IoTの現実
目次
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スマート工場の実現「世界より遅れている」が6割、アンケート調査
Part4 数字で見る現場 調査テーマ「スマート工場の現状と取り組み」に関する調査
「日本のスマート工場の取り組みは世界に比べて遅れている」。日経ものづくりが実施したアンケート調査で、回答者の6割がこう回答した。2015年9月号の同じ調査と比べて悲観的な結果となった。
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インダストリー4.0とは何だったのか、登場から10年を機に振り返る
総論
「インダストリー4.0(Industry 4.0)」というキーワードが2011年に登場してから、今年で10年の節目になる。インダストリー4.0は、大まかには「製造業のデジタル化を進めて生産情報を可視化し、新しいビジネスモデルにつなげよう」というコンセプトだ。
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第4次産業革命はまだ途中、今後15年かけ持続的に変わっていく
ドイツ・フラウンホーファー研究機構被膜・表面技術研究所所長/ブラウンシュバイク工科大学教授 クリストフ・ヘルマン氏
2011年にドイツのハノーバーメッセで「インダストリー4.0(Industry 4.0)」が提唱されてから10年。その後の発展と現在の状況や課題について、長年ライフサイクルエンジニアリングとサステナブルマニュファクチャリングの研究を手掛けてきたフラウンホーファー研究機構被膜・表面技術研究所(IST…
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「ドイツの技術者の知見こそが資産」 インダストリー4.0の今後
ドイツの“名付け親”が語るインダストリー4.0(後)
「インダストリー4.0」が初めて提唱されてから10年の節目に当たる「HANNOVER MESSE 2021:Digital Edition」で、「インダストリー4.0の10年、国際的成功を収めたドイツ発のコンセプトとその未来」と題するオンラインセッションがあった。インダストリー4.0の名付け親とい…
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インダストリー4.0、「国際的成功を収めた」ドイツ発コンセプト
ドイツの“名付け親”が語るインダストリー4.0(前)
「インダストリー4.0」が初めて提唱されてから10年の節目に当たる「HANNOVER MESSE 2021: Digital Edition」で、「インダストリー4.0の10年、国際的成功を収めたドイツ発のコンセプトとその未来」と題するオンラインセッションがあった。インダストリー4.0の名付け親と…
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インダストリー4.0から10年 「データ基盤整備は途上」IVI西岡氏
2011年にドイツ政府が技術政策として「インダストリー4.0(Industry 4.0)」を提唱してから10年。日本の製造業も、このキーワードを意識しつつ、生産の高度化に取り組んできた。果たして10年前に思い描いたような形で発展を遂げられたのか。次世代のものづくりに向けて、様々な企業の連携を目指す…
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マツダが物流業務にAI、フォークリフト作業を動画分析
IVIが取り組む製造現場の「困りごと」解決④
マツダは生産ラインにおける部品供給の効率化と安全向上のため、動画分析システムの活用を進めている。実証実験に取り組むのは、同社本社工場(広島市)にあるホワイトボディーの組み立てライン。フォークリフトに搭載したカメラの動画を分析して、動線や積載状況を分析し、無駄を探し出そうとしている。
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費用ゼロ円で横展開 検査自動化システムの「活用天国」
IVIが取り組む製造現場の「困りごと」解決③
IoT(モノのインターネット)技術などを活用した次世代のものづくりに向けて、様々な企業の連携を目指す「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)」。製造現場の「困りごと」の発掘・分析・実証実験までを行う「業務シナリオWG(ワーキンググループ)」の2020年度の活動から、検査向け自…
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企業間で生産進捗を共有 マスカスタマイゼーションを容易に
IVIが取り組む製造現場の「困りごと」解決②
IoT(モノのインターネット)技術などを活用した次世代のものづくりに向けて、様々な企業の連携を目指す「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)」。荏原製作所やIHIなどの社員からなるワーキンググループ「6E02」は、サプライチェーンの上流から下流までの企業が部品表(BOM)を共…
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あまりはやっていない? ブームだった製造業向けIoT基盤の今
「産業向けIoT基盤はあまり流行っていないのではないか」。スマート工場の動向を取材しているうちに、ある制御機器メーカーの関係者から聞こえてきた話である。「大手IT企業のクラウドサービスが選択肢としてある中で、専用のIoT基盤は費用がかさむ。それに見合う効果があるのかは疑問」というのだ。
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金型の摩耗を荷重データから予測 精度は99%超
IVIが取り組む製造現場の「困りごと」解決①
IoT(モノのインターネット)技術などを活用した次世代のものづくりに向けて、様々な企業の連携を目指す「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)」。製造現場の「困りごと」の発掘・分析・実証実験までを行う「業務シナリオWG(ワーキンググループ)」の20年度の活動から、CKDや栗田産…