全3136文字
PR

システム開発を内製する体制づくりは一足飛びには行かない。先進企業の成功の秘訣を、立ち上げ期、拡大期、成熟期のフェーズごとに明らかにする。組織がある程度大きくなった成熟期に、多くの企業が直面する「ある問題」とその解決策をみていこう。

>>脱ベンダー丸投げ、内製の極意(2)より続く

 マネジメントが足かせとなり、開発スピードが落ちるようでは元も子もない。そこで末永氏はエンジニアをマネジメントするミドルマネジャーを設けた。ここで重要なのはマネジメントだけする人ではなく、「手を動かせるマネジャー」であることだ。

エンジニアをミドルマネジャーに

 エンジニアではない人がエンジニア組織をマネジメントするのはハードルが高い。地道な改修作業など、エンジニアの取り組みを正しく評価できないと、エンジニア側が疑念を抱く可能性があるためだ。

 末永氏はエンジニアをマネジメントする人物に必要な要素として、1人ひとりのモチベーションを高められる「ピープルマネジメントにたけていること」と、「技術と事業の双方を深く理解していること」を挙げる。

 サービスの迅速な拡大を目指すグロービスは、エンジニアがマネジメントを兼任して仕様を決定したり調整したりするのが重要とみる。そのためミドルマネジャーは外部から連れてくるのではなく、「組織の中で育てていくべきと考えている」(末永氏)。

 エンジニアの中にはマネジメントに興味がない人もいるため、同社は技術を追求する「スペシャリスト」としてのキャリアパスも用意。「ミドルマネジャーになった人には権限を移してミッションについて認識合わせをする。移譲し任せた範囲の仕事には上位のマネジャーは口出しせず、主体的に行動してもらうことが重要と考えている」(同)。

需給に応じ外部リソースを駆使

 内製組織が拡大し、一定の開発案件を回せるようになった「成熟期」のリスクとして、先進各社がしばしば挙げるのが「エンジニアのだぶつき」だ。基幹システムの刷新など、大規模な開発案件がある際は人員を増やす必要がある。エンジニアを雇用すればその分だけ人件費が固定費としてかさむ。

 一方、継続的にエンジニアが稼働できる案件がなくなった場合は人件費が無駄になりかねない。専門性の高いエンジニアを業務部門に異動させるのも難しい。

 内製の先進各社に共通するのは、いつでも外部リソースを活用できる状態を整えている点だ。グロービスは開発案件の一定数をフリーランスなどのエンジニアに業務委託している。開発案件が増えれば外部のエンジニア人材を増やす運用にしているという。

 「現状、リソースがだぶつく状況は想定していないが、万が一案件がなくなりエンジニアが十分に稼働できない状況になれば、業務委託のエンジニアとの契約を一時的に打ち切るかたちを想定している。その点は業務委託という契約の性質として、理解してもらっている」(末永氏)と話す。

 星野リゾートもエンジニア人材の需給バランス維持には目を配る。一気にエンジニアを増やさないのはこのためだ。「エンジニアを多く採用しすぎて担当する案件がなくなる状況を生まないように注意している」と久本グループディレクターは話す。