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 社会変化のスピードは今後さらに増す。先回りして知恵を出し合い、試行錯誤を重ね、挑戦を続けることが重要だ――。湯﨑英彦広島県知事は日経BPがこのほど開催した「デジタル立国ニッポン戦略会議」に登壇し、こう語った。変化の時代はDX(デジタルトランスフォーメーション)のチャンスでもあるとの考えを示した。

広島県知事の湯﨑英彦氏
広島県知事の湯﨑英彦氏
(出所:デジタル立国ニッポン戦略会議)
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 湯﨑知事は1900年と1913年の米ニューヨーク市街地の写真を示し、人々の移動手段が「約10年で馬車から自動車へと完全に入れ替わっているのが分かる」と指摘した。「この変化で馬車のメンテナンスの仕事は完全に無くなり、自動車のメンテナンスが取って代わった。これと同じような社会変革がデジタルやデータによって、もたらされようとしている」と続けた。

 そうした現代の社会変革や昨今のDX(デジタルトランスフォーメーション)の潮流について、湯﨑知事は「チャンスと捉え、積極的に取り組んでいる」という。なぜ広島県にとってチャンスなのか。

DXの「実証・実装の場に」

 広島県は他の国内地方都市と同様に人口減少が進んでおり、「これまでの人口規模を前提としていたインフラ、医療、交通、教育といった行政サービスが成り立たなくなってきている」(同)。

 目の前の課題を解決するには、「行政サービスの効率化だけでは不十分。ビジネスモデル自体を変えることが求められている」(湯﨑知事)。そのために必要なのがDXであり、広島県はデジタルの力を経済発展と県民生活向上の原動力にする考えだ。

 つまり変革待ったなしの状況を踏まえてDXに臨み、地域経済の活性化と地方創生につなげるシナリオを描いているわけだ。

 広島県の特徴やポテンシャルについて、湯﨑知事は次のように語る。「海も山もあり、都市部と自然がある。ものづくりの産業も発展している。日本の縮図と言えるような環境で、様々な魅力と課題を包含しており、DXに取り組むに当たって様々なシーンが実証・実装の場になり得る」。

 例えば基幹産業である製造業は「かつての成功体験が強すぎて、グローバル化やデジタル化への対応が進んでいない」(湯﨑知事)。従来は企画や設計から生産、物流、販売、アフターサービスまで、確立した工程の中で品質の高い製品を作ることが重要だった。ところがデジタル化によって常識が一変。顧客に新たな価値を提供するためにバリューチェーンから見直す必要に迫られている。ここにDXのチャンスがあるとみる。