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 三菱電機は2022年9月22日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から受注し、同社が設計・製造した最新の光学衛星「だいち3号(ALOS-3)」の機体を報道機関向けに公開した。だいち3号は、陸域観測技術衛星「だいち」(2006~2011年)の光学ミッションを引き継ぐ地球観測衛星である(図1)。大型・高性能化したセンサーを搭載することで、観測幅70km、観測距離4000kmの広域を、地上分解能0.8mという高精度に観測する。

図1 2022年度に打ち上げ予定の「だいち3号(ALOS-3)」
図1 2022年度に打ち上げ予定の「だいち3号(ALOS-3)」
衛星の寸法は5m×16.5m×3.6m、質量は約3トン。数百kg以下が多い民間の観測衛星と比較するとかなり大型だが、質量が約4トンだった「だいち」と比べると小型である。2015年度に開発に着手し、設計・製造・試験を完了している(写真:日経クロステック)
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 平時には地上の変化をモニタリングしたり、地理空間情報を収集したりし、災害発生時には地震や水害、噴火などの被災状況を広域に取得したりするのが目的だ。JAXAの次期主力ロケット「H3」の初号機で2022年度内に打ち上げられる予定。投入軌道は太陽同期準回帰軌道で、高度は約670kmである。

 だいち3号の主な特徴は、1.撮影画像の高分解能化、2.観測波長帯の増加、3.光衛星通信の採用、4.民間活用にある。まず、だいちでは地上分解能2.5mの白黒画像を取得するセンサーと、同10mのカラー画像を取得するセンサーを搭載していたが、だいち3号では同0.8mの白黒画像と同3.2mのカラー画像を取得するセンサーを搭載する。センサーはCCD(電荷結合素子)で、いずれも三菱電機が自社開発した。白黒用とカラー用をそれぞれ12個ずつ、計24個のセンサーを搭載している(図2)。

図2 だいち3号の構成
図2 だいち3号の構成
広域・高分解能の光学センサーは、図で機体上部に搭載されている。黒いカバーがかけられている部分がセンサーのレンズ部分で、打ち上げ時にはカバーが外される。光学センサー以外に、防衛省が開発した赤外線センサーを搭載する。太陽電池パドルは合計6枚が搭載されており、宇宙空間で展開して電力を供給する。光衛星通信機器は背面に設置されている(出所:三菱電機)
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 また外部から取り入れた光をセンサーに集める集光光学系は、従来は3枚の鏡を使っていたところを4枚に増やして焦点距離を長くすることで、分解能の向上を実現した(図3)。各鏡面を湾曲させることで集光光学系は従来より2割小型化したという。

図3 センサー部の集光光学系の構成
図3 センサー部の集光光学系の構成
だいちでは鏡を3枚使っていたが、それを4枚に増やすことで焦点距離を長くして分解能を高めた。各鏡を湾曲させることで全体のサイズを約2割小型化できたとしている(出所:三菱電機)
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