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 ロケット開発のスタートアップであるインターステラテクノロジズ(IST、北海道大樹町)は2023年1月24日、戦略説明会を開催し、国内初となる民間主導の大型ロケット「DECA(デカ)」の開発計画に着手したと発表した(図1)。多数の超小型人工衛星を地球低軌道に打ち上げて一体運用する、コンステレーションを構築するための宇宙輸送用途などを狙う。

 最先端のロケット再使用技術を活用することなどによって、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の「H-IIA」ロケットと比較して1/10の打ち上げコストを目指す。サービス開始は2030年代を予定している。

図1 大型ロケット「DECA」のイメージ
図1 大型ロケット「DECA」のイメージ
小型衛星コンステレーションによる宇宙輸送などの用途を狙う。打ち上げコストは従来の1/10の水準を目指す(出所:インターステラテクノロジズ)
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 ロケットによる宇宙輸送ビジネスは近年、急速に成長している。2011年に世界で年間28機だった小型衛星(重さ500kg以下)の打ち上げ数は、2021年には1743機にまで増えている。こうしたなかで、日本のロケット会社には大きなチャンスが訪れているという。ロシアによるウクライナ侵攻で、これまで世界の宇宙輸送で約1割のシェアを占めていたロシアのロケットを、日本を含む西側諸国が実質的に使えなくなったからだ。

 ところが、2022年のロケット打ち上げ回数は、米国の84回、中国の54回、ロシアの22回に対して、日本は0回だったという。IST社長の稲川貴大氏は「近年、日本の衛星の半数は海外で打ち上げており、海外流出が進んでいる。せっかくの機会を損失している」と危機感を表す(図2)。

図2 IST社長の稲川貴大氏
図2 IST社長の稲川貴大氏
宇宙輸送ビジネスには大きなチャンスが到来していると話す(写真:日経クロステック)
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 さらに安全保障の観点でも宇宙の重要性が高まっており、自国の安定した打ち上げ能力は必須との認識が広がっている。ここでも西側諸国のロケットにはロシア製のエンジンや部品などを使えず、「日本にチャンスが到来している」(稲川氏)という。

 ISTはこれまでに3度の宇宙到達実績を持つ「MOMO」(1段式、全長10.1m、直径0.5m)、そして早ければ2024年度の初号機打ち上げを目指して開発を進めている「ZERO」(2段式、全長25m、直径1.7m、積載重量約150kg)で蓄積してきた低コスト技術などをDECAの開発・製造に取り入れるとしている(図3)。

図3 ISTの既存ロケットとDECAとの比較
図3 ISTの既存ロケットとDECAとの比較
DECAは2段式の大型ロケット。1段目を再利用することで低コスト化する(出所:インターステラテクノロジズ)
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 仕様の詳細は未公表だが、DECAは2段式のロケットで1段目を再使用する。これでコストを半減する。加えて、部品の低コスト化や量産化などでコストを従来の大型ロケットと比較して1/5に下げる。全体として1/10の低コスト化を目指すとしている(図4)。

図4 ロケット再使用による低コスト効果
図4 ロケット再使用による低コスト効果
ZEROなど小型ロケットの場合は再使用のコスト効果は薄いが、大型ロケットのDECAなら大きなメリットを得られるとしている(出所:インターステラテクノロジズ)
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