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 コロナ禍により数々の社会課題が浮き彫りになり、課題解決の一策としてオンライン化が急速に進み始めました。例えば教育分野の場合、オンライン形式は移動せずに離れた場所でも授業が受けられる、また、自分のペースで学習できるなどのメリットがある一方で、実験・実習・実技など、教員や学生同士の対話や、きめ細かい指導が必要な場合は、リアルの授業が適しているとの声が聞かれます。

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多様な人財の育成。現場でのデジタル活用。全社一体となってやり切る。本物のDX実現のポイントです

 コロナ禍はオンラインが持つ可能性と同時に、リアルの重要さをあらためて気づかせてくれたのです。これからはオンラインとリアル双方のよさを取り入れた「ベストミックスな社会」を目指すことが大切です。

新たな価値を生むDXを推進する人財と組織のあり方

 ベストミックスな社会の実現に向け、不可欠なのがDXです。現在、企業や行政が課題解決のためのデジタル化を加速させています。この10年でITの役割や位置付けは変わりました。これまでの業務を新しく変えることによる業務のさらなる合理化・効率化に加え、新しいサービスや商品・ビジネスモデルの創出が強く求められています。今後目指すべきは、デジタルを軸にして多くのステークホルダーがつながり、個別の企業や組織だけでは困難だった課題を解決していくことです。

 「本物のDX」が実現すれば、企業の事業として成果を出し続けながら、あらゆる人々に、そして社会に貢献する取り組みが加速するでしょう。

 その実現には、人財と組織がカギとなります。人財については、現在、国内のIT人財は約100万人といわれますが、国の試算では、2030年までに45万人ほどが不足する見込みです。DX推進に必要な新しい知識やスキルを持つ多様な人財を確保し、ビジネスや業務に活用していくことが、すべての日本企業にとって急務となっています。

DX推進に必要な2つの人財タイプ

 企業でDXを推進する人財には「DX専門人財」と「デジタル実践人財」の2つのタイプがあります。

 DX専門人財には、サービスを創出する「ビジネスデザイン」、技術を目利きしてシステム構想を描く「テクノロジー」、そしてデータの観点から課題を抽出する「データ活用」の3つのスキルが求められます。ビジネス部門とシステム部門の双方で、これらのスキルを身に付けた人財が必要になるでしょう。こうした人財は社内で育成していくのが一番です。ただしDXにはスピードが求められます。外部の人財を活用するのも1つの方法です。

 もう1つのデジタル実践人財は、デジタルの基礎知識を幅広く身に付け、現場で徹底的に活用し続けるスキルを備えた人財を指します。DXは仕組みをつくって終わりではありません。デジタル実践人財が、事業の現場で蓄積されたデータを活用しながら生まれる気づきやアイデアをビジネスに生かせるようになれば、DXの効果は高まります。

経営層に求められるやり切る覚悟と現場との一体化

 本物のDXに向けては、推進組織の整備も欠かせません。重要なのは、経営トップの決断です。組織の責任者や役割を明確にし、人財をサポートする環境を整える。同時に、何のためのDXであり、最終的に何を目指すかという「DXビジョン」を設定する。これにより、全社員が共通認識を持つようになり、現場でのデジタル活用が加速します。

 DXは多様な人財が連携してアイデアを出し合い、仮説検証を繰り返していくため、すぐさま成果が出るというものではありません。経営層は最後までやり切る覚悟を持ち、経営層と現場が一体となって全社で取り組む。これがDXで継続的に成果を出すカギになります。

NTTデータのDX推進つながるDXを実現

 これからは、DXを「自社内部の取り組み」から「外部企業の巻き込み」、さらには「業界横断の取り組み」とその範囲を広げ、ステークホルダーとのつながりを増やしていくことにより、個社では難しいサービスの実現、ひいては社会課題の解決も可能になると考えています。NTTデータでは個社の効率化・自動化、サービス高度化はもちろん、貿易情報プラットフォーム「TradeWaltz」のように、業界のステークホルダーを超えたDXを実現しています。

 また、NTTデータでは、社内のトップエンジニアを塾長とする「技統本塾」を運営し、専門スキルの高い人財を育成しています。さらに、デジタル技術の高度な専門性を持ち、顧客の組織の一員としてDXを推進する「DTD(Digital Technology Director)」と呼ばれる200人以上の人財が、お客様の企業に常駐し、お客様と共にDXに貢献しています。

 これからも自らの経験に基づくノウハウやナレッジを生かし、DX推進を支える人財の育成から組織づくりまでをサポートしていきます。

※TradeWaltz(トレードワルツ):現在の貿易業務では、会社間でのやりとりの多くが紙などのアナログなコミュニケーションとなっています。TradeWaltzはブロックチェーン技術を活用してデジタルなコミュニケーションに変化させ、業界横断で貿易プロセスの最適化を進めます。

本記事は2021年8月18日~20日にオンライン開催された「IT Japan 2021」のリポートです。