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 タイヤは、モビリティと共に進化し、「走る」「曲がる」「止まる」といったモビリティの基本機能を路面に「伝え」、実現する役割を担ってきました。近年、急速に発達しているMaaS(Mobility as a Service)やCASEの世界では、モビリティがデジタル技術によってあらゆる情報とつながります。そして、路面と唯一接するタイヤは「つながる」ことで、ますます重要な役割を果たすことになります。

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様々な情報とつながり始めたタイヤヒト、モノの動きを支えるソリューションカンパニーへ

 ブリヂストングループは、使命「最高の品質で社会に貢献」に基づき、「タイヤは生命を乗せている」という大原則の下、モビリティの進化を見据え、足元から安心・安全な移動を支え、持続的に社会価値・顧客価値を創出することに挑戦しています。こうした新しい価値の創出には、イノベーションとそれを支えるデジタルトランスフォーメーション(DX)が欠かせません。

 ブリヂストンのDXのテーマは「より大きなデータで、より早く、より容易に、より正確に」。素材・商品開発から、社会・お客様へのソリューションの提供までバリューチェーン全体での取り組みを、「開発・モノづくり」領域と、「社会・顧客接点」領域の大きく2つに分けて展開しています。ブリヂストン流DXは、当社90年の歴史の中で培ってきた強い「リアル」である匠の技と、「デジタル」の融合によりイノベーションを加速することを目指しています。

データを軸に、開発・モノづくりと社会・顧客接点のDXを推進

 「開発・モノづくり」領域でのDXの基盤となるのは、タイヤ・ゴムに関する知見です。タイヤの主要部材であるゴムは、温度などの条件によって硬さや形が変わる、扱いにくい素材です。しかし、我々の開発・生産の現場には、長年、実証・実験を繰り返し習得した匠の技としての「ゴムを極める」技術があり、多種多様なモビリティでの経験を通じて得たタイヤの限界性能や耐久性能などに関する膨大なデータ・知見があります。これらが、我々が持つ強い「リアル」です。これに「デジタル」を融合させることで、独自の断トツ商品、ソリューションを開発します。

 具体的には、素材開発、製品設計において、蓄積されたラボデータや、世界中から集めたタイヤの使用条件などをデジタルで分析、シミュレーションを通して革新的なタイヤ開発につなげる技術や、情報通信技術にAIを実装した最新鋭タイヤ成型システム「EXAMATION」などです。

 「社会・顧客接点」領域のDXで目指すのは、より安全で経済的なタイヤの使い方や車両運行の提案など、社会・お客様の移動に関する困りごとを解決するソリューションの提供です。タイヤを中心としたソリューションとして、簡単な質問に答えるだけでお客様に最適なタイヤを推奨するAI診断ソリューションサービス、タイヤディーラーやサービス拠点を瞬時に照会できるトラック向けのディーラーマッチングアプリなど、小売拠点網での「リアル」なサービスに、「デジタル」を組み合わせて提供しています。

 また、タイヤのみならずモビリティのデータを活用したモビリティソリューションも推進しています。フリート(運送)ソリューションでは、欧州のデジタルフリートソリューションプロバイダーであるWebfleet Solutionsがコアとなり、車両テレマティクスデータを活用した運行管理サービスを展開しています。タイヤと車両のモニタリング・分析によって、事故や突然のトラブルを防ぐとともに、ドライバーの負担軽減、燃費の向上や、オペレーション全体でのコスト削減などが可能となります。他にも鉱山、航空などの事業者様向けのソリューションを提供しています。

共創の場へと拠点を再構築デジタル人財の育成も進める

 DX推進をはじめ、新たな価値を創造するグローバル拠点として、東京・小平の技術センターを「Bridgestone Innovation Park」として再構築しています。様々なパートナーの皆様との共感からスタートし、共議、共研、共創へとつなげていきます。

 創出されたアイデアはVRなどのデジタルツールを使いすぐに試作、実証実験をするなど、「リアル」と「デジタル」を組み合わせながら、開発のサイクルを小さく速く回転させ、アジャイルな開発が可能な環境を構築する予定です。

 また、DX推進に不可欠なデジタル人財の育成にも力を入れています。M&Aによって加わったデジタル人財との交流推進に加え、日本ではデジタルでデータ分析・システム開発を担うデータサイエンティストを育成するプログラムを設けています。2023年には、グローバルで高度デジタル人財を約1200人育成、確保することを計画しています。

 こうしたブリヂストンのDXは、まだ発展途上です。将来は、バリューチェーン全体をデジタルでつなぎ、グローバルでデータを共有し、ブリヂストングループの事業活動全体のDXを推進していきます。これからも、共創とイノベーションを通じて、ヒト・モノの移動と動きを支え、社会価値・顧客価値を提供し続けるサステナブルなソリューションカンパニーへと進化していきます。

本記事は2021年8月18日~20日にオンライン開催された「IT Japan 2021」のリポートです。