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 デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた動きが世界中で加速しています。かく言う当社も、ビジネスのトランスフォーメーションが近年の重要課題でした。これまでデータベースやERPのビジネスを中心に規模を拡大してきましたが、クラウドコンピューティングの台頭により転換を迫られていたのです。従来のビジネスは、オンプレミスのシステムが主なターゲットであり、売り上げの多くをソフトウエアのライセンスやサポート費用が占めていました。しかし、クラウド時代に成長を続けていくためには、これまでの売り切り型のビジネスをサービス型に転換していかなければなりません。全社のあらゆる部門で変革に取り組みました。

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全社を挙げてクラウド企業に変身 最新技術で競争優位を実現

攻めのDX+守りのDXでビジネス変革を推進

 変革に向けてまず取り組んだのは、イノベーションの創出による競争優位の強化、つまり「攻めのDX」です。一般的には困難だといわれていたピュアSaaS ERPの開発に取り組むと同時に、第一世代のパブリッククラウドでは対応が難しかったミッションクリティカルなクラウドの創出も目指しました。

 並行して、「守りのDX」にも取り組みました。具体的には、経営環境の変化やリスクへの対応、事業継続性の確保を図るためのバックオフィスの整備です。「攻め」と「守り」のDXを両輪で進めることで、相乗効果を狙ったのです。

 我々が変革に取り組む最大の目的は、「データドリブン経営」の実現にあります。バックオフィスの仕組みをすべてクラウド化しました。単にクラウドへ移行するだけでなく、たった1つの正しいデータをすべてのビジネスプロセスで参照する「シングルデータモデル」の考え方を取り入れました。整理された正しいデータを基にAIを使って、業務の自動化を徹底しました。

 こうした変革を進めていくことで、成果を上げることができました。例えば営業/マーケティング業務では、わずか10分でマーケティングリードが営業の手に届きます。日本法人では、これまで一四半期で約1500件あった契約書の押印処理が2件にまで減りました。

 会計業務でいえば、四半期決算を10日で開示できます。S&P 500の平均決算発表時期が31日であることを考えれば、いかに速いかがお分かりでしょう。

 それ以外にも、人事評価の時間の約70%削減、サプライチェーン改革で年間約2億ドルのコスト削減を達成するなどの成果を上げています。守りのDXがいかに大きな成果を生むかということを、身をもって証明できたと考えています。

第二世代のクラウドとSaaSで企業の全業務をサポート

 当社の変革を支えたのが、ピュアSaaSのアプリケーションスイート「Oracle Cloud Applications」と、第二世代のIaaS/PaaSを提供するクラウドサービス「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」です。既に多くの導入事例があり、バックオフィス業務の迅速な立ち上げやマーケティング力の強化、ITコスト削減など多くの実績を積んでいます。

 データドリブン経営の実例として紹介したいのが、三井住友フィナンシャルグループです。これまでグループ各社で個別だった経理業務をSaaSに集約。グループ全体で業務プロセスの標準化を図るとともに、経営管理も横串を通した形で行えるようにしています。

 家電量販店大手のエディオンは200以上のインスタンスを有する大規模基幹システムをOCIへ移行しました。インフラを自社から切り離すことで、リソースの集中を図りスピード経営の原動力ともなるシステム内製化へ舵を切られました。クラウド移行を機に、万一の災害などの場合にも事業継続を可能にする環境を従来より低いコストで実現できました。

 導入企業各社が多くの成果を上げているのは、OCIが他のクラウドにはない特長を備えているからです。そもそもOCIは20年前の技術をベースとする第一世代クラウドでは何ができなかったのかを徹底的に研究して創り上げたもの。サービスを支えるテクノロジーにも、最新の先端技術が用いられています。

 高いスケーラビリティを確保するために、超高速なネットワーク/コンピューティング環境を用意。大規模なミッションクリティカルシステムに対応すべく、高いIOPSと自動化されたセキュリティ機能を備えています。加えて、専用クラウドと仮想化ソリューションの双方を提供することで、「真のハイブリッド」を実現。当社のお家芸であるデータベースシステムについても、処理能力が高いだけでなく、AI機能を搭載しています。

 当社では、大企業でも採用可能なフルスイートの業務アプリケーションのSaaSであるOracle Cloud ApplicationsもOCIの上で動作しています。これらのサービスをフル活用し、「Be a TRUSTED TECHNOLOGY ADVISOR」として、日本企業のデータドリブン経営をご支援します。

本記事は2021年8月18日~20日にオンライン開催された「IT Japan 2021」のリポートです。