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 新型コロナウイルスが収まりを見せつつある今、「さあ、頑張ろう」と気持ちを新たにしている読者も多いのではないでしょうか。職場でそうした雰囲気が醸成されつつあるとしたら、リーダーの思いや取り組む姿勢は特に重要です。リーダーのありようが、職場のメンバーの思いや姿勢に大きく影響します。これまで私がさまざまなところで取り上げてきた開発設計のありようは、実は「開発設計リーダーのありようでもあるのです。

 今回は、リーダーがぜひ意識してほしい取り組みやスタンスを「25カ条」として紹介します。

 こう言うと、「自分は職場の管理者だが、開発設計リーダーと管理者は同じなのか」と疑問を持つ人もいるかもしれません。私は開発設計リーダーと管理職の違いを次のように考えています。

開発設計リーダーと管理者の違い

 リーダーとは、「目標を高く掲げ、リスクを恐れずに、常識にとらわれることなく創造と変革に挑戦し続ける人。世界がやっていないからやる、そのような思いを持ち続けることができる人」です。

 一方、管理者とは、「与えられた目標と現状とのギャップを認識し、決められたことを抜けなく正確に実行し、目標に向かって着実かつ効率的に業務を実践できる人。そして、組織の継続と成長を取り組み続ける人」です。

 両者の違いを製品の開発設計に当てはめるとこうなります。

 製品は新規性の視点で4つに分類できます。新規性の高い順に、[1]革新的な製品、[2]次世代製品、[3]次期型製品、[4]類似製品です。新規性が高いものほど開発設計のリスクは高まります。新規性の高い製品とは、革新的な製品はもちろん、次世代製品や次期型製品の一部が該当します。これらにはリスクへの挑戦を恐れず、創造と変革の取り組みが必要です。

「成長サイクル」を捉えて設計しているか

 一方で、既存の技術で対応できる新規性の比較的低い次期型製品や類似製品は、正確性と効率的な設計を心掛けてください。何らかの「抜け」がないように確実に実行することが求められます。

 先のリーダーと管理者の“定義”を踏まえると、革新的な製品や次世代製品、次期型製品を推し進める人は、開発設計リーダーでなければなりません。逆に、新規性の低いそれ以外の製品は、抜けなく正確な仕事が実践できる管理者が適していることになるでしょう。

 設計者の皆さんは気づいていると思いますが、「先行開発」は開発設計リーダーが推進しなければなりません。正確を重視する守りに徹した管理者には務まらないのです。

先行開発と量産設計を別物にすると技術力は高まらない

 ただし、業務が進んで先行開発段階から「量産設計」段階に移行すると、開発設計リーダーにも、決められたことを正しく遂行する正確性と効率性が求められます。つまり、先行開発と量産設計を一気通貫で行う職場では、開発設計リーダーにも管理者の素養が必要になるというわけです。

 かつて、私が経験した職場では先行開発と量産設計を同じチームが担当していました。職場の管理者が開発設計リーダーを兼ねていたのですが、今でも日本企業にはそうした職場が多いのではないでしょうか。つまり、管理者は革新的かつ創造的であるとともに、正確かつ効率的な取り組みを意識するオールラウンダーでなければならないし、それを目指さなければならないのです。

 そのための指針となる「開発設計リーダー25カ条」があります。それをここに伝授しましょう。

開発設計リーダー25カ条

  • (1)「図面は全社で描く」。設計はもちろん、品質や生産技術、生産など各部門の関係者全員の知恵・知見を入れて、初めてまっとうな図面となる
  • (2)「自然はだませない」。壊れる可能性のあるものは、必ず壊れる
  • (3)製造業は自然が相手の「自然を加工する業」である。
  • (4)図面に記載されたことは全て「理論で説明」でき、試験・実験で「定量的に検証」できていなければならない
  • (5)品質不具合を減らすには、過去の経験を今の仕事に「関連づける」必要がある
  • (6)失敗したら「技術上」と「管理上」の教訓を共に残す。管理上の教訓は「仕組み」に反映する
  • (7)デザインレビュー(設計審査)は「総知・総力」を注ぐ「気づき」の場である
  • (8)デザインレビューは「準備が8割」。準備の段階で多くの気づきが生まれる
  • (9)決裁会議は「真剣勝負」の場。報告者はプライドを懸け、決裁者は相応の心構えで臨む
  • (10)技術検討だけではなく、組織間を束ねて、顧客と技術折衝ができて初めて「設計者」といえる
  • (11)問題解決の「99%」はまだ「5合目」。残りの課題に設計工数の50%を注ぐ
  • (12)設計手順は、基本プロセスとサポートプロセス、マネジメントプロセスの「3つのプロセス」から成ることを説明できること
  • (13)「設計目標値」を決めた時点で、競合に勝つか負けるかは既に決まっている
  • (14)設計目標値のQ(品質)、C(コスト)、D(納期)は「定量的な根拠」を踏まえる
  • (15)設計は結果と共に、そこに至った定量的な根拠を大切にする
  • (16)設計と製造は、適度な緊張感で「全循環的スパイラルアップ」をさせる
  • (17)製品固有技術は深く、関連する要素技術は抜けなく幅広く知る
  • (18)現場へ行くと「待っていました」と言ってもらえる設計者の図面はレベルが高い
  • (19)「技術は必要条件」で「管理や仕組みが十分条件」。両立できれば不具合は減る
  • (20)設計段階で品質もコストも8割が決まる。図面に間違いがあってはならない
  • (21)開発設計リーダーは「競合に勝つ設計」、および「顧客から信頼を得る設計」を意識する
  • (22)忙しいからと設計手順を飛ばすのは、品質不具合を許すこと
  • (23)品質とコストにこだわり、納期は厳守する。そして、新たな技術・製品へ果敢にチャレンジする
  • (24)判断をむやみに先送りしない。最小限のデータで最適な判断をする
  • (25)同じ汗をかくなら世界No.1を目指す。設計者だからこそそれは可能だ

 不安定な世情を脱しつつある今こそ、設計者の皆さんに「開発設計リーダー25カ条」をかみしめてほしいと思います。