全3181文字
PR

 ギグワーカーが急増した最大の要因が、仕事を依頼する企業とギグワーカーをネット経由でマッチングする、いわゆる「プラットフォーム」を運営する事業者の存在がある。ギグワーカーを保護するためにプラットフォーム事業者はどのような方策を取っているのか。ギグワーカーの生活の糧になる「適正な報酬」をどう守るかという観点で見てみよう。

 2021年5月10日、料理宅配サービス大手「ウーバーイーツ」は全国を対象に報酬体系を一新した。その直後からSNS(交流サイト)などで「新料金体系に移行して以前より稼げなくなった」といった声が噴出している。

 エリアによって詳細は異なるが、旧料金体系では「基本金額」、ピーク時間や注文の多いエリアなどに適用される「プロモーション(インセンティブ)」を合計した額に「サービス手数料」を引いて算出していた。注文者が配達員に「チップ」を支払った場合は、この額も加算される。基本金額は定額の「受け取り料金」と「受け渡し料金」、そして配達距離を基に算出する「距離料金」の合計だ。

算定方法が「ブラックボックス化」という批判

 運営するプラットフォーム事業者のウーバーイーツジャパンは新料金体系の基本金額の算定方法を、旧料金体系と大きく変えた。ただし、算定のベースとなる数式など詳細は非公表。これまでは基本金額の基準を公開し、距離に比例して決めていた。ウーバーイーツの配達員らが2019年に結成した労働組合「ウーバーイーツユニオン」などは、新料金体系の基本金額算定方法がブラックボックス化していると主張する。

ウーバーイーツの新料金体系
ウーバーイーツの新料金体系
(出所:ウーバーイーツジャパン)
[画像のクリックで拡大表示]

 ウーバーイーツジャパンは基本金額の算定方法について「配達に費やす予定の時間と距離、および商品の受取場所や届け先が複数あるかどうかを基に算出され、配達パートナーが配達に費やす予定の時間帯と距離などにより変化する」と日経クロステックにメールで回答した。

 新料金体系には新たに「配達調整金額」を加えた。通常よりも道路が混雑していたり、受取場所での待ち時間が長かったりした場合に適用する。ただし配達調整金額についても計算方法を示していない。

 配達リクエストを受ける際には予定配送料が表示されるようにもなった。配達員にとっては仕事を受けるかどうか判断する目安になる。とはいえ、ウーバーイーツユニオンは「配達後に報酬額が変わることもあり、適正な報酬額かどうか確認すらできない状態だ」と主張する。

配達員とのコミュニケーションを重視

 一方、KDDIが出資するmenuは報酬の算定方法を具体的に示している。2021年10月現在の配達報酬は「基本報酬」から「サービス手数料」を引いた額に、インセンティブの対象に該当する場合は「インセンティブ」を加算する。

menuの配送報酬の計算方法
menuの配送報酬の計算方法
(出所:menu)
[画像のクリックで拡大表示]

 基本報酬は1回の配達に伴う「回数報酬」と走行距離に基づいて算出する「走行距離報酬」の合計からなる。回数報酬は1回の配達につき260円の固定。走行距離報酬は受注時の場所から店舗までの距離と店舗から配達先までの距離を合計したものを2乗し、20円を掛けて決まる。基本報酬の上限は1200円だ。

 配達員はmenuで配達するほど「経験値」というポイントがたまる。ポイントによって配達員の「レベル」が決まり、レベルアップするたびにボーナスが発生する仕組みもある。