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 2021年、「Pro」の名にふさわしいAppleシリコン搭載のMacBook Proが登場した。その輝かしいスペックを見ると、2020年に登場した「素」のM1チップを搭載したMacBook Proはいったい何だったのか、という気持ちになる。

 本稿では、M1 Pro/Maxを搭載した新MacBook Proについての雑感と空間オーディオに対応したLogic Proについて音楽制作者の視点で語ってみたい。なにせ今回米Apple(アップル)が開いたイベントの主たるテーマの1つは「音楽」だから。

ファンの静寂さは音楽制作者にとって重要ポイント

「倍」という数字が踊っている。M1 Pro/Maxチップを搭載したことで、とにかく高速になったことは理解できる
「倍」という数字が踊っている。M1 Pro/Maxチップを搭載したことで、とにかく高速になったことは理解できる
(出所:アップル)
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 HDMI端子とSDカードスロットが復活したのはよろこばしいことだ。それだけで万歳三唱したくなった。特にクリエーティブ系の仕事をしている人は、この2つのポートの復活を歓迎しているはずだ。汎用性の高いHDMIケーブルで音声や映像を出力したり、データの受け渡しにSDカードを利用したりする場面は多い。従来のUSB Type-Cだけでも対処は可能だが、別途周辺機器の接続が必要になるなど、一手間、二手間が必要だった。

 ただ、開口部の高さがあるHDMI端子を搭載したが故なのだろう、旧モデルにおいて薄さの演出に一役買っていたエッジ部分のテーパー造形がなくなり、ボテッとした印象になったのは残念なところだ。このあたりはトレードオフなので致し方ない。

HDMI端子、SDカードスロット、MagSafeが復活した。Thunderbolt 4ポートが3つしかなく「退化した!」とがっかりするも、よく考えたら電源がMagSafe 3になったので、データのやりとりに使える本数は事実上以前と同じだった
HDMI端子、SDカードスロット、MagSafeが復活した。Thunderbolt 4ポートが3つしかなく「退化した!」とがっかりするも、よく考えたら電源がMagSafe 3になったので、データのやりとりに使える本数は事実上以前と同じだった
(出所:アップル)
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 スペック的にすばらしい新M1チップだが、プロユーザーとしては現場で試してみないと、この段階で軽々に評価はできない。いくらスペック的にすぐれていても実際に現場に投入してみるといろいろと不満点が出るものだ。例えば、筆者は2020年版のIntel MacBook Proを音楽ホールでのモバイル録音の現場で利用しているのだが、高速回転するファンの騒音にはうんざりする。

 Intel MacBook Proはメモリーを32GBに増設するなどして、スペック的にPro Toolsという音楽制作ソフトの動作条件を余裕で満たしている。だがPro Toolsの場合、音楽ソフトといえども音声波形の描画にGPUパワーを大量に消費するようで、トラック数が増えて負荷がかかかるとファンの音が常に耳に付く。実際、録音中のモニタリングにおいて、ピアニッシモの部分でファンが盛大に回り始め、興ざめすることもしばしばだ。

ホールの楽屋でのモニタリング環境。2020年版のIntel MacBook ProでPro Toolsを動かしている。トラック数が増えるとファンの音が気になる(筆者撮影)
ホールの楽屋でのモニタリング環境。2020年版のIntel MacBook ProでPro Toolsを動かしている。トラック数が増えるとファンの音が気になる(筆者撮影)
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