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 米Apple(アップル)は2021年10月18日(米国時間)にイベントを開催し、Apple Musicの新サービス、HomePod miniとAirPodsの新製品、そして新しいM1チップを搭載したMacBook Proの新シリーズを発表した。すでに実機を手に取って使い始めた方もいるかもしれないが、イベントの内容を改めて振り返りつつ、今後の「PC」の方向性について少し考えてみたい。

Apple Storeでの展示と販売がスタートしたMacBook Pro。これは米国のストアに展示されていたもの
Apple Storeでの展示と販売がスタートしたMacBook Pro。これは米国のストアに展示されていたもの
(筆者撮影)
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まるでプロセッサーメーカーの発表会

 冒頭にもあるように2021年10月のイベントはApple Music、HomePod mini、AirPodsの順番で発表が行われたが、次にAppleが発表したのはMacではなく新しいM1チップ「M1 Pro」「M1 Max」だ。全体で約50分あったイベントのうち、ちょうど真ん中の時間帯で9分37秒も使ってじっくりとM1 ProやM1 Maxを紹介しており、いかに同社がこの部分に力を入れているかが分かる。

 この部分の流れを見ていくと、SoC(System on a Chip)のダイ写真の公開から各ブロックダイヤグラムの解説、理論上のパフォーマンスと特徴、そしてライバルと目される競合製品との性能比較グラフなど、「これはプロセッサーメーカーの発表会か」と錯覚するほどだ。

 実際、1999年から2010年半ばごろにかけて米Intel(インテル)、米AMD、米NVIDIA(エヌビディア)、英Arm(アーム)、米Qualcomm(クアルコム)など半導体メーカーに張り付いて取材してきた筆者からすると、それらの発表スタイルを踏襲しているといえる。ユーザーに直接SoCを販売したり、あるいは他のPCメーカーやスマートフォンメーカーにSoCをOEM供給したりすることこそないものの、「われわれは半導体メーカー(でも)ある」と強くアピールしたい姿勢が感じられた。

 グラフ比較などはライバル企業からの反論も合わせてよく議論になることが多いが、すでにリリースされている「M1」が相応のパフォーマンスを叩きだしていることもあり、傾向としてはおおむね間違っていないと思われる。本来は省電力運用に適した形で構成されたSoCだが、ハイパフォーマンスが要求されるマシン向けにコア数やインターフェースの帯域を増やして高消費電力の仕様にカスタマイズするとM1 Pro/Maxのような製品を作れると証明した。「Intelプロセッサーや専用のdGPUがなくてもAppleだけでそれ以上の製品が作れる」と主張するには十分なものだ。

M1 ProとM1 MaxのSoCのダイ写真比較。コア数からの推察だが、M1 Proの中央上寄りの部分がCPUコアで、下寄りの部分がGPUコア。M1 MaxはGPU部分がちょうど2倍に拡大されたサイズになっている
M1 ProとM1 MaxのSoCのダイ写真比較。コア数からの推察だが、M1 Proの中央上寄りの部分がCPUコアで、下寄りの部分がGPUコア。M1 MaxはGPU部分がちょうど2倍に拡大されたサイズになっている
(出所:アップル)
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他のPC向けプロセッサーとM1プロセッサーの性能比較。額面通りには受け取れないが、同じ消費電力ではM1のほうが処理能力が高く、さらにパフォーマンスの上限を向上する余地もあるという。ただし上限はサーマルデザインの問題もあるため、ノートPCなどではそこまで引き上げるのは難しいのではないかと考える
他のPC向けプロセッサーとM1プロセッサーの性能比較。額面通りには受け取れないが、同じ消費電力ではM1のほうが処理能力が高く、さらにパフォーマンスの上限を向上する余地もあるという。ただし上限はサーマルデザインの問題もあるため、ノートPCなどではそこまで引き上げるのは難しいのではないかと考える
(出所:アップル)
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