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 三菱電機が、炭素繊維強化樹脂(CFRP)製部品の量産に向く炭酸ガス3次元レーザー加工機「CV」シリーズを開発し、工作機械展示会「メカトロテック ジャパン 2021(MECT2021)」(2021年10月20〜23日、ポートメッセなごや)に出展した。CFRP専用の炭酸ガスレーザー発振器を搭載しており、CFRP製ワーク(以下、CFRP)を高速かつ高品位に加工できるとする。軽量化を狙ったCFRP製部品の加工ニーズに応える。

炭酸ガス3次元レーザー加工機「CV」シリーズ
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炭酸ガス3次元レーザー加工機「CV」シリーズ
CFRP製部品の量産加工に向く。(写真:日経クロステック)

 専用の炭酸ガスレーザー発振器は、発振器(発振段)と増幅器(増幅段)を同一の筐体(きょうたい)に統合させた。まず、低出力のビームを発振し、光学素子を使って急峻(きゅうしゅん)なパルス波形に変換する。これにより、発振される台形状パルスのうち、左右の脚部(三角形の部分)を除去して矩形(くけい)状パルス波形を得る。低出力に抑えるのは、光学素子が熱に弱いためだ。続いて、この低出力のパルス波形を再び放電空間に投入し、増幅させることで高出力の矩形状パルス波形のレーザーを発振する仕組みとなっている。

 こうして得られた高出力の矩形パルス状のレーザーを使うと、CFRPを構成する炭素繊維と樹脂を同時に、かつ瞬時に切断できる。発振器の出力は1.2kWである。

3次元ワークのサンプル
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3次元ワークのサンプル
きれいな切断面が得られる他、高速に切断できる。(写真:日経クロステック)

 CFRPのレーザー加工は難しい。CFRPを構成する炭素繊維と樹脂は、熱伝導率も融点も大きく異なるからだ。炭素繊維の方が熱伝導率も融点も高いため、レーザーによって炭素繊維に入った熱は、すぐに樹脂に伝わって樹脂を溶かしてしまう。そのため、CFRPを切断した付近で炭素繊維がむき出しになったり、切断部付近が凹凸になったりしてしまう。

 この樹脂を溶かす熱が、先の台形状パルスの脚部だ。炭素繊維を切断できる最高出力に達するまで、あるいは最高出力からゼロになるまでの過渡域であるため、炭素繊維を切断する前に樹脂に熱が伝わり溶ける。これに対し、専用の炭酸ガスレーザー発振器は、最高出力だけのレーザーで炭素繊維と樹脂の両方をスパッと切るイメージだ。

炭酸ガスレーザー発振器の構造とパルス波形
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炭酸ガスレーザー発振器の構造とパルス波形
発振段と増幅段を同じ筐体に収めた構造(左)。発振段で低出力で発振した台形状パルスの脚部を光学素子で矩形状パルスに変換した後、増幅段に戻して出力を高める(右)。(三菱電機の資料を基に日経クロステックが作成)