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 パソコンで使うストレージには、ハードディスク(HDD)やSSD(Solid State Drive)、USBメモリーといったハードウエアに加え、サービスとして提供されるクラウドストレージなどがある。各種ストレージの特性や機能を理解し、仕事に役立てる「仕事で差が付くストレージ活用術」を身に付けよう。今回は、パソコンの内部に組み込まれている「内蔵ドライブ」を取り上げる。

内蔵ディスクに利用されるHDDやSSD
内蔵ディスクに利用されるHDDやSSD
(撮影:竹内 亮介、以下同じ)
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内蔵ドライブはSSDが主流

 内蔵ドライブには、Windows 10やWindows 11といったOSやアプリのファイルが保存される。パソコンに電源を入れると、内蔵ドライブから各種ファイルが読み出されてメモリー上に展開され、OSが起動しパソコンを利用できる状態になる。文書ファイルなどを開くときは、内蔵ドライブのアプリのファイルが読み出されてファイルの内容が表示される。

 このように、内蔵ドライブはパソコンやアプリの起動に密接に関わっている。データの読み書きが高速なほうがパソコンをより快適に利用できる。

 パソコンの内蔵ドライブには、HDDもしくはSSDが採用されている。主流はSSDを搭載したパソコンだ。SSDのほうがHDDよりデータの読み書きが速いからだ。

 またSSDはHDDと比べて、衝撃に強い。この差は両者の構造の違いによって生じている。

データを記録する円盤が回転する HDD

 まずはHDDの構造を紹介する。HDDは、データを記録するために磁性体を塗布した小さな円盤と、データを読み書きするための磁気ヘッド、円盤を回転させるモーターなどで構成される。

直径2.5インチの円盤を採用した2.5インチHDD
直径2.5インチの円盤を採用した2.5インチHDD
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 HDDの内部には円盤が1枚もしくは複数枚が収められ、面ごとに用意された複数の磁気ヘッドが1つにまとめられて組み込まれている。円盤はモーターによって毎分5400回転あるいは7200回転といった超高速なスピードで回転する。その上を磁気ヘッドが移動し、円盤の目的の場所にあるデータを読み書きする。このため、データの読み書きには磁気ヘッドの移動時間や回転待ち時間がかかる。

HDDのふたを外したところ。磁気ヘッドは稼働中、円盤の上を移動する。稼働していないときは手前にあるオレンジの部分に待避している
HDDのふたを外したところ。磁気ヘッドは稼働中、円盤の上を移動する。稼働していないときは手前にあるオレンジの部分に待避している
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 HDDが衝撃に弱い理由は、こうした構造にある。円盤には高密度にデータを書き込むため、磁気ヘッドと円盤の間隔が非常に狭くなっている。このため、読み書きしている最中にちょっとした衝撃が加わると、磁気ヘッドと円盤がぶつかって円盤が損傷してしまうことがある。

 現行のHDDは衝撃を検知したら磁気ヘッドを安全な位置(写真のオレンジ色の部分)に待避するなどの安全機構を装備している。それでも衝撃による故障は防ぎきれない。