パソコンに保存されているファイルにロックをかけてユーザーが読み出せない状態にしてしまう「ランサムウエア」。元に戻すための「身代金」を要求され、支払ったとしてもファイルが元に戻る保証はない。大事な家族の写真を失ったり業務に支障を来したりする。
今回は仕事で差が付くストレージ活用術として、ストレージを使ったランサムウエア対策を取り上げる。この凶悪なランサムウエアからファイルをどう守ればよいのかを考えていこう。
ネットワーク内で感染を広げる凶悪なマルウエア
ランサムウエアとは、ユーザーのデータと引き換えに金銭(身代金)を要求するマルウエアである。感染すると、暗号化するなどしてファイルにロックをかけられ利用できなくなる。
企業などで感染すると、パソコン内のファイルだけにとどまらず、ネットワーク経由でアクセスできる業務システムのファイルまでロックをかけられ、業務が停止してしまう被害も珍しくない。さらにファイルを窃取され、「公開されたくなければ金銭を支払え」と脅迫される被害も発生している。
またマルウエアらしく、ほかのパソコンに感染する機能を備えているランサムウエアも多い。最初のパソコンを足がかりにして、ネットワーク内で感染範囲を広げていく。
このような凶悪なランサムウエアに感染しないための対策は、一般的なマルウエア対策と同じと考えてよい。まずパソコンではセキュリティー対策ソフトを有効にし、新しいランサムウエアに対応できるようにするためにソフトを最新の状態にしておく。
Windows 10やWindows 11には、標準で「Windows セキュリティ(Windows Defender)」というセキュリティー対策ソフトがインストールされている。Windows Updateを実行すれば、Windows セキュリティもアップデートされる。
次に、出所の分からない実行ファイル・圧縮ファイルや知らない人から届いたメールを不用意に開かないことだ。セキュリティー対策ソフトで防ぎきれないマルウエアが存在するからだ。
ただサイバー攻撃の手法は非常に巧妙で、気を付けていても添付ファイルをつい開いてしまうことがある。また、送信元のメールアドレスを偽装して送り付けてくる場合もあり、完全に防ぐのは不可能だ。