[今回の回答者]
田口 景介 インターネットイニシアティブ(IIJ) ネットワーク本部 SRE推進部 ジェネラルマネージャ
ハイブリッドクラウドは、クラウド事業者が提供するクラウドサービスの環境と、企業がサーバーなどを自前で運用するオンプレミスの環境を組み合わせたシステム構成を指します。
クラウドサービスでは、コンピューターリソース(資源)を必要なときに必要な分だけ利用できます。またサーバーやネットワーク機器の運用やメンテナンスを事業者に任せられるので、利用企業にとってはこれらの運用にかかる人手が少なくて済むのも特徴です。一方、オンプレミスは、自社の仕様に基づくシステムの開発やセキュリティーポリシーの適用がしやすいなどの特徴があります。
そこで、これらを適材適所で組み合わせるのがハイブリッドクラウドです。例えば、機密性の高い情報を扱う基幹系システムはオンプレミスで、外部に公開するWebサーバーは拡張性を重視してクラウドサービスで運用するといった具合です。オンプレミスとクラウドサービスに分散するシステムを統合的に管理するAPI(Application Programming Interface)など、ハイブリッドクラウドに有用な技術の整備も進んでいます。
ただしハイブリッドクラウドを使いこなすためには、ネットワーク設計の見直しが必要になる場合があります。例えば、従来は拠点からの通信をすべて自社のデータセンター経由にしていた企業では、データセンター宛てとクラウド宛てで通信を分けて、クラウド宛ての通信の応答速度を高めるケースが考えられます。
(聞き手=中島 募)